『SS』 長門有希をもふもふしたい 後編

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「ん…………」
 ようやく焦点が定まってきた長門の瞳に再び光が宿る。俺の両手は長門の胸を覆って、突起を指でいじっている最中なのだったが、ボーっとした長門は何も言わず、抵抗もしなかった。
「よう、大丈夫か、長門
「…………ごめんなさい」
 第一声がそれかよ。何を謝るんだ? というのは長門の視線で答えが分かる。俺のズボンも長門の下着も生乾きで、所々が白くなっている。正直感触としては、カピカピというかゴワゴワしている。これは全て長門から出たものだ、それを謝っているらしい。
 一度絶頂を迎えたことにより冷静さが戻ったのか、表情が戻った長門は淡々と謝罪したのだが、別に謝ってもらう必要などない。何故ならば、責任は俺にもあるのだから、お互い様というやつだ。
「そう」
 そういうもんだろ。
「…………お願いがある」
 何だ?
「指を…………止めて……」
 ああ、これか? 長門の下着の中に入れた指は小刻みに割れ目をなぞり、その為に長門のそこは乾く事が無かった。見れば、無表情が戻ったかのような長門も肌の色がピンクのままだ。
 とはいえ、長門の言葉とは裏腹なここを放っておくのも忍びない。本当に嫌ならどのような手段でも取れる長門が、小声でお願いなんて逆の意味にしか取れないじゃないか。かといって、強制するのも嫌なので、
「分かった」
 と一旦指を下着から抜いた。「あ…………」なんて名残惜しそうに言うくらいなら初めから止めてなんて言わない方がいいぞ、長門
 それに、指を止めたからといって全部を止めた訳では無い。
長門、ちょっと立ってくれないか?」
 触られるのを止めたくせに、立てと言われて離れるのが嫌そうに僅かに眉を顰めた長門は可愛いのだけど、まあいい。渋々俺から降りた長門に、
「なあ、ちょっとその下着って違和感ないか? というか、気持ち悪いだろ」
 見た目にも一部は乾いて固まりながら、中心部はジットリと湿っている下着は履き心地がいいと思えない。純白だった下着は汚れなのか、濡れているからなのか薄いグレーがかったものになってしまっていた。
「別にいい」
 嘘をつけ。いつものお前ならそうだろうが、さっきまでの長門を見ている俺に通じると思うなよ。変なところで意地を張る長門も可愛いが、それでは話が続かない。続かせたいのかと言われれば、続けない奴がいるのか、と答えよう。
「俺が気になるんだ。いいから、それ脱げよ。ああ、スカートもだな」
「…………わかった」
 意地っ張りのくせに素直、という不思議な二律背反を見せた長門は大人しくスカートに手をかけると、あっさりと脱いでしまった。そのまま何も気にしないで下着にも、
「…………見ないで」
 そこまでやっておいてかよ。上半身は裸で、下着一枚のくせに今更何を。とはいえ、段々と頬が染まっていく長門を見るのは非常に楽しい。が、ここで終われないのだ。ここは後ろでも向いて、
「脱がしてやろうか?」
 いや、そうじゃないだろ。選択肢を間違えたゲームの失敗を悟った俺は慌てて否定しようとしたのだが、 
「お願い」
 なんと正解だった。素晴らしい、こんなルートが潜んでいたとは。俺は椅子から立ち上がり長門の前へ。見た目はいつもの無表情に見える長門が、俺からすれば期待感で瞳を潤ませている。こいつも想像して興奮などするのだろうか、乾いていたはずの下着まで濡れてきたようだった。
 やばい、可愛い。大人しく俺のされるがままの長門は、目の前でしゃがんだ俺の脱がしやすいように足を少しだけ広げた。待ってるのかよ、とニヤケながら、
「いくぞ、長門
 返事を待たずに下着を一気に下ろした。そして、それは俺の想像以上だった。
 余分なものが何一つ無い一本の筋。それが周囲の液で濡れて光っている。おまけに、そこからは一筋の糸のように同じ液が垂れていた。
 あまりにも扇情的な光景に息を呑む。頭上から小さな吐息が聞こえた。長門、お前……感じてるのか? その答えは口ではなく、長門の肉体が物語っていた。溢れる蜜が、そこから垂れている。
 感動で言葉も無くした俺に、頭上から声がかかる。
「あなたも……」
 何だ? 呼ばれて立ち上がった俺に、長門は潤んだ瞳でズボンに手をかけた。
「濡れていては、違和感を感じる」
 そう言いながらベルトを外す。止める間も無くチャックを下ろされ、一気にズボンも降ろされた。流石に俺の下着までは濡れていない。濡れていないが、
「…………形状が通常とは違う」
 当たり前だ、普段からこんなはずないだろ。などと軽口を叩ける状況でもない。くらいに俺のそれは屹立していたのだが、かといって、長門のペースに持っていかれたくもない。なので、努めて冷静に、
「ありがとな、それじゃ続きをいいか?」
 全裸の長門は素直に頷く。やっぱり続き希望だったのか。再び椅子に座った俺に、長門が当然のように上に座ろうとする。
「ああ長門、ちょっとさっきと体勢を変えてくれないか?」
 素直すぎる長門は俺の言うままに座りなおした。正面から俺の上に足を広げて跨る形で。下半身同士が密着し、長門の顔が真正面にくる。腰を抱くようにすれば、自然と重要な箇所が摺り合う。
「そういえば、もふもふって顔を埋めたりするものらしいぞ」
 何度も言うが、もふもふの定義が分からないままの行動なので違っていても許していただきたい。俺はそう思いながら長門の膨らみかけの胸に顔を埋めた。ハルヒや朝比奈さんならば挟まれて呼吸も出来なくなりそうだが、長門だと柔らかく包まれるだけである。もっと骨っぽいかと思った長門の胸は十分なクッションだったのだ。
 首を振って顔を動かす。これってもふもふだよな? 長門のささやかな膨らみは絹のような肌触りと言えばいいのだろうか? 手で触るのとは違う感触に溺れそうになる。しかも、
「あっ……んっ…………んやっ……ふ…………」
 可愛らしいBGM付きなのだ。一旦落ち着いたかと思えた長門の熱はまだ残っていたらしく、跨った時から目の色が変わっていたのを見逃す俺ではない。
 そして、もふもふは加速する。いや、暴走だろう。ブレーキなど存在しないチキンレースは、ただ落ちるのみなのだ。顔を挟むように両手で胸を持ち上げると、
「にゃぁんっ!」
 ネコか。というか、どんだけ可愛い声を上げてくれるのだ。これでは行為をエスカレートせざるを得ないではないか。両手で胸ごと顔を挟んで、柔らかな感触を味わいながら、長門自身にも喜んでもらおうと突起部を指でいじる。
「あっ! それ……んっ…………だめ…………」
 そんな事言われても、さっきまでの態度でどれだけお前がこれを好きなのかは承知済みだ。触られている胸よりも、触っていない下半身の方が熱を帯びてきているのが分かる、というよりも俺の下着が濡れてきている。どれだけ敏感なんだ、と思いながら埋めた胸の谷間に舌を伸ばしてみた。ほんのりと汗の味がする。長門の汗も味がするというのは分かっていたが、胸だとまた一味違うようだった。
「はんっ………う……や……ん…………」
 膨らみに添うように舌を這わせていく。過敏な反応で双丘を僅かに揺らす長門は、もう無表情の殻を脱ぎ捨てている。いや、最初から期待していたのだろう。少しだけ空いた間は、長門にとってクールダウンの時間にはならなかったのだ。高まっていく官能と、俺の言う事には逆らえない長門は頬を染め、目に涙を浮かべている。
 そんな長門が可愛すぎたので、涙を吸い取るように瞼にキスを降らせる。涙がしょっぱいことに感心しながら、目を閉じた長門も可愛かったので唇にもキスをした。舌を入れても良かったのだが、それよりも長門を喜ばせてやる方法がある。
 さっきから指で摘んでいた胸の中心に口を近づけると、それだけで期待感で震える身体。上目遣いで長門が様子を見ているのを確認して、ピンクの突起を口に含んだ。
「んにゃぁぁぁぁっ!」
 その瞬間に長門の嬌声が響き渡り、股間に生暖かいものが広がってくる。感度が数倍になっているかのような長門がまた漏らしたのだ。その温かさを感じながら、含んだ突起を舌で優しく転がす。尖ったそれは、舌で何度も押し込んでも自らを主張することを止めなかった。
「んにゃっ! あんっ! あ、ふ…………ああんっ! それ…ン……もっと………」
 長門の懇願に応えるように反対の突起を摘み上げる。指でいじる感触と、舌で舐められる感触に全身を痙攣させながら、喘ぎ声が止まらない。過呼吸のような荒い息遣いの中に、「もっと……」と涙まじりの懇願を加え、下半身を熱くしながら長門は俺の頭を抱え込むように自分の胸に押し付けた。
「いや…………だ……め…………そ、こ……だけ…………じゃ……」
 分かってるって。唇をそっと反対の突起に。咥えるのではなく、舌ではじく。周辺のピンクに沿って形作るように舐めてからキスをする。
「ああっ! ん……やあ……も、う……やぁ…………」
 俺の頭を抱えたままで喘ぐ長門。可愛らしい甘い声に刺激されつつ、下から上へと膨らみを舐めていく。いきなりしゃぶりついてみる、舐め回して咥えた突起を甘がみすると、
「ふゃぁぁっ! そこ…………いいっ! 乳首、もっと噛んでぇっ! 舐めてぇ!」
 おいおい、折角直接的表現を避けていたのに。壊れたような長門は無意識の内に一番刺激的な単語を選んでいるかのようだった。
「乳輪……舐めて…………もっと…………吸って……え……」
 完全に光が飛んだ瞳が虚空を見つめ、抱えた俺の頭を固定しようとする。それに逆らうように交互に乳首を咥え、舌で転がしながら空いた側は素早く指でこねくり回す。柔らかい長門の胸は、俺の思い通りに指の動きに併せて形を変えていく。その度に、
「いいっ! そ……こ……わ、たし、の……データ…………に……エ、ラー…………」
 エラー? 何を言っているんだ、これはエラーなんかじゃない。そんな事を言えば、人類の大半はエラーを抱えて生きることになってしまうじゃないか。何よりも俺がエラーを抱えている事になる、現状においては。
 だから、エラーとやらの正体を長門に伝えてやろう。それが世の為、俺の為だ。
長門、気持ちいいか?」
 耳元で囁きながら、乳首を摘みあげる。
「き、も、ち……いい?」
 ああ、そうだ。お前の感じているのはエラーなんかじゃない。それを人は快感と呼び、それはそれは気持ちのいいもんなんだ。お前はそれを受け入れた事が無かった、対応しきれなかっただけなんだよ。
 耳の穴に舌を差し入れながら説明にならない説明をする。本当に聞いているのか分からない惚けた顔で俺の言葉に耳を傾けていた長門は、
「だから、もっと素直になっていいんだぞ」
 そう言ってキスをした途端に豹変した。
「あ、あ、んんっ! ひゃぁぁぁんっ!」
 歓喜の声を上げて背中を反り返らせ、股間から大量の液を撒き散らしながら身体を激しく痙攣させて、長門は絶頂を迎えた。あまりの迫力に声を失った俺に長門の小柄な体がもたれかかってくる。肩で息をする長門が心配になり、
「だ、大丈夫か?」
 と声をかけると、力なく顔を上げた長門は虚ろな瞳で、
「きもち、いい……わたし……」
 呟きながら俺の頬を両手で挟み、
「もっと…………」
 ゆっくりと顔が近づき、戸惑う俺を無視するように唇と唇が重なった。驚く間も無く、唇がこじ開けられて長門の舌が俺の咥内に侵入する。
「んんっ?!」
 長門の舌が、歯を一本づつ舐めとる、歯茎を舐める、舌に絡みつきながら唾液を送り込んでくる。甘い唾液を嚥下しながら、お返しとばかりに長門の咥内に舌を伸ばす。
「ん……ふ……」
 鼻にかかるような声を洩らしながら、長門は俺の唾液を飲んでいた。口の中を長門の味だけにされていく感覚に、頭の芯が痺れてくる。互いの舌が絡み合い、粘膜を舐めとられる。ぴちゃ、くちゃ、と艶かしい音だけが室内に木霊するようだった。
「あ……ふ……んっ……はふ…………」
 息継ぎの為に唇を離そうとすれば、一瞬でまた塞がれる。その度に舌が咥内を蹂躙していき、唾液を飲まされる。長門に染められていくようで、呼吸困難もあって頭が真っ白になっていくようだ。それでも長門はキスを止めようともしない。
 このままでは気絶してしまいそうだ、快感と窒息で。それは俺も望んでいないし、長門も本意ではないだろう。だが、キスの気持ちよさに溺れる長門には言えそうも無い、唇を離してくれないからな。では、違う方法で離れてもらうしかないだろう。
「んあぁぁんっ!」
 実は簡単だった。長門の胸を触って、乳首を摘み上げれば嬉しそうな悲鳴を上げてしまうのだから。やっと自由になった口で大きく呼吸しながら、首筋にもキスをする。
「それ、だめ…………くび……いや……」
 ならば、ここはどうだ? 耳たぶにキスして咥えてやる。
「ああんっ! それ、も……だめ……じゃ…………ない……」
 両手で胸を揉みながら耳を舐める。
「ひゃん! ……もう……」
 ここで、されるがままだった長門が反撃してきた。俺の耳元に唇を寄せると、フッと息を吹きかけてきたのだ。背筋に寒気のような、快感がぞわりと襲ってくる。まさか、俺もここまで耳が弱かったのか?
「あなたも……気持ち…………いい?」
 耳の中に舌が差し込まれる感触に喩えようも無い感覚を覚えてしまう。甘ったるい口調の長門の声は、悪魔の囁きのように俺の耳朶をくすぐった。
「ん……ふぅ…んっ…………はぁ……」
 ピチャピチャと聞こえるように俺の首筋を舐める長門。快感に流されそうな俺は攻める手を止めて長門の尻を抱えるように鷲掴み、されるがままになっていた。気付けば立場が逆転しつつある、長門が舐めるのが好きだなんて思いも寄らなかった。
 しかも、舐めながら快感を感じていたらしい。その証拠に長門の腰は微妙に動き、俺の下半身に擦りつけられている。そこは既に洪水状態だった。俺の下着も今やぐちょぐちょだ。
「はふ……あ……」
 擦りつけていた下半身の感覚に夢中になった長門が舌を離した隙に、俺は再び逆転の一手を打った。
「んにゃぁぁぁっ! そこっ! それ、ダメぇ!」
 擦りつけていたそこに伸ばした指は割れ目に沿って撫でている。さっきと違い、丸見えになっているので視覚的には俺も興奮してしまうのだが。何も生えていない長門のそれに俺の指が触れている。ぬるぬると指先に伝わる感触は、長門がどれだけ感じているのかを明確に証明していた。
「あふっ……んっ…………ゆ、び……いや…………」
 そんな様子はまったくないようだぞ? 割れ目を撫でるほどに中から蜜が溢れてくる。その液を潤滑油にして割れ目の上部、間違いなく弱点であろう突起をいじってやれば、
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ! そこぉ、らめぇぇぇっ!」
 何度目か分からない潮を吹いて、長門は思い切り絶頂した。背中を反らせてしまったため、ヒクヒクと蠢く性器が滑るように光っているのが見えてしまう。だらしなく開いた唇からも唾液を垂らしながら、
「らめって……いったのに……」
 うわ言のように呟きながら長門は快楽に溺れていた。虚ろな瞳がいじらしく俺を捉える。やばい、可愛すぎる。のろのろと身体を元に戻した長門は涙目で俺を睨み、
「……いじわる」
 そう言って俺の胸に顔を埋めるのだった。だから可愛すぎるだろ、それ。
「あなたも……」
 何がだよ、と思ったら長門は俺の下着に手をかけていた。おい、それは、
「下着を汚してしまった。だから、脱いで」
 って、反論する前に脱がされていた。しかし、長門自身が跨っているので全部降ろされた訳ではない、どちらかと言えばずらされて出されたと言う方が正しい。今まで抑えられていた欲望の権化は外気に触れて痛々しいくらいに屹立していた。湿っていた下着の中に閉じ込められていたのもあるが、それ以外の要素でも全体が濡れている。それが空気に触れて冷えていくのが分かった。
 先程までの行為で固くそそり立つ俺をジッと見つめた長門は、おもむろにそれを握る。それだけで電流のような快感が全身を駆け抜けていった。
「固い……それに、熱い……」
 ベタな感想だが、長門に言われただけで硬度が増してくるようだ。長門の小さな手に、俺のそれが握られているというだけで興奮する。
「ちょ……なが、と……!」
 長門の手が上下に動き、俺のを擦っている。たどたどしく、壊れ物を扱うように。その覚束無い手つきが逆に寸止めをされているようで快感を増幅させている事に、長門自身は気付きもしない。
 しかも、長門は無意識の内にとんでもない行動を起こしていた。太ももが長門の蜜で濡れている。その上を濡らした原因である箇所で擦り付けているのだ。
「んううっ……!」
 自分の腰の動きに感じながら手の動きも止めようとしない。それどころか、腰は段々と俺のモノに近づいてきて、
「んああぁぁぁんっ! こ……れ…………いっ!」
 長門の無毛の割れ目が俺のに擦り付けられていた。割れ目から溢れる蜜が俺を濡らす。ぬらぬらとした感触が俺のモノを包もうとしているかのようだった。無毛の長門のそこは、すべすべして熱い。俺の先からも漏れている液と相まって、互いの性器がいやらしく光りながら濡れている。丸見えの扇情的な光景に、俺は目を奪われていた。
「はんっ! あんっ! ふっ、ふうっ! こ、う……どう……せ…………いぎょ……で、き、な、い……いいっ!」
 もう手の方に集中出来なくなった長門は俺のに自分のを擦りつけながら、涙目で俺にしがみ付いてきた。俺の首に腕を回し、耳元で甘い喘ぎ声を上げながら胸や腰を擦り付けてくる。
「んん〜っ……ん……ふぁ……んっ…………ぷはっ…………」
 嬌声を上げる長門の唇をキスで塞げば、すぐに舌を絡めてくる。舐めるのが好きな長門は咥内を蹂躙された後に唇を離すと、舌を伸ばして俺の頬や首筋を泣きそうな顔で舐めてきた。ピチャピチャと舌と舌を絡み合わせる音と、グチャグチャと性器を擦り合わせる音、二つの音に俺の荒い息遣いと長門の涙混じりな喘ぎ声が室内を支配する。
 擦りつけられている俺自身からは先走る液が痛いくらいに張り切った竿と呼ばれている部分を流れていく。その粘液は、擦り合わされている長門の割れ目にも流れ込んでいるかのようでもあり、長門から溢れている蜜と混じり合っていてその下まで垂れ流されているようでもある。俺の座る椅子は既に汗とそれ以外の汁で座り心地の悪いくらいに濡れそぼっている、長門の腰の動きでずり落ちそうだ。
 落ちないように、というのもあるけど、自身がより快感を求めている。俺は長門の尻を両手で抱えて引き寄せた。いや、自分の思い通りになるように割れ目を擦りつけさせた。
「いやっ……ああっ……そ、ん、な………早…す……ぎ……」
 切れ切れに喘ぎながらも俺の動きに併せて腰を動かす長門。にゅるにゅるとした温かい感触が全体を包む。激しくなった動きに谷間の中に覗く小さな突起が擦り付けられた途端に、
「きゃぁぁぁ〜っ!」
 悲鳴を上げて長門が身体を反らせた。が、椅子から落ちないように抱え込まれている為により腰を押し付けるような形にしかならなかった。俺のモノにもコリコリとした感触が伝わってくる、滑るような挟み込まれるような感覚の中でアクセントのような硬い感触は、それなりに快感なのだが。それよりも、行為による長門の反応が俺の快楽を増幅していく。
「あぁんっ! いや、だ……めっ……止まら…………ないっ! こん……な、のっ…………しら……な、い……っ……!」
 言葉と裏腹に長門の腰の動きは止まる事が無く、俺も抱え込んだ長門を離すような事はしなかった。二人のリズムが重なって、粘着質の音が響く。長門は最早泣きながら喘ぐだけで、下半身から伝わる快感だけに身を任せているようだった。
 かく言う俺も限界だ。このまま出してしまってもいいが、それでは満足出来そうもない。ここまできたら最後まで、というか、この先が無くして何をしろというのか。長門の激しい腰使いは感じる先端を集中的に攻めようと無自覚に動いているが、粘液の効果もあってか割れ目の内部に入りそうで入らないもどかしい状態を繰り返している。ぬるりと先端だけを咥え込んでは離れていく感覚に、俺は我慢が出来ず、長門は快感に溺れていた。
このままでは中途半端に出てしまうか、不慮の事態でいきなり入ってしまう。それは俺の本意ではない、というか、そんなハプニングはいらん。出来れば、俺はリードしたままでいたい。そう思う間も無く、俺は長門の腰を掴んでいた。動きを止められた長門が涙交じりの瞳で、何があったのかと問いかけてくる。これはこれで非常に良いのだが、あまり意地悪を言える状態に無いのが悔やまれる。焦らしたいのだが、こちらの方が抑えが利かん。長門の腰を持ち上げて少しだけ浮かせながら、俺は目的の位置まで長門を微調整した。そこに触れただけで長門の表情が変わる。
こいつ、やはり分かっている。この後がどうなるのか、自分がどうなってしまうのか。
「いいか? 長門
全ての単語を省いて最小限の言葉で長門に問いかける。質問は返答を必要としないものであり、答えは一択しかないものだった。つまり、長門が拒否をしようとも行為は続けるつもりだったし、長門が拒否するなど考えてもいない。
そして長門は頷くでもなく、俺を見つめたまま小さく、しかしはっきりとこう言った。
「…………きて」
言葉と同時に力を抜く。小柄な長門の身体の中に、俺の身体が入っていく。
「あぁぁぁぁぁっっっ!!」
絶叫のような、歓声のような、長門が出したと思えない声が室内に響き、俺のモノは長門の中に根元まで埋め込まれていった。途中で抵抗があったような気もしたが、濡れすぎた潤滑油と自重によって一気に入り込んでいったのだ。
「うっ……くぅ…………んっ……」
長門が眉を顰める。当たり前だろうが、初めてのはずだ。いきなり挿入されて痛みが無いとは思えなかったが、勢いに任せすぎた。俺自身が歯止めが利かない状態だったのだ。その事に気付いた時には俺は長門の中に入り込んでしまっていた。
「当……該…………行……為、は……経…………験……し……て…………」
言わなくても分かる、これで初めてじゃないと言われたらその方がショックだ。俺は長門を抱きしめた。ゆっくりと、愛しむように髪を撫でる。先程とは違う意味で荒い呼吸と汗を流しながら長門はじっと耐えていた。
「大丈夫、じゃないよな?」
「……平気」
「強がらなくていいんだ、痛くないか?」
「痛みは…………あまりない……圧迫感が…………」
「そうか。もう少し我慢してくれ、段々馴染んでいく、と思う」
「いい…………あなたが、中にいるという実感があるから……ただ、お願いがある」
「何だ?」
「…………キス、して」
ああ、何度でもしてやるさ。俺は長門の唇を奪う。優しく重ねあう唇の感触は甘く、蕩けそうだった。しかも、キスの感触を味わっていると下半身が燃えるように熱くなる。長門の中が、蠢くように俺を締め付けてくる。
「うっ……あぁっ!」
今度は俺が情けない声を上げる番だった。長門の中、というものがこれほどとは。いや、正直に言えば経験など無い俺がここまで持ったのが奇跡なのかもしれないけれども、俺がかなりの女誑しであっても同様の感想を抱いたであろう程に長門は凄かった。
長門が落ち着くまで動かないというのは俺にとっても正解だった。これで動けば、それこそ三擦り半というやつだ。もしもここまで長門を攻めるでもなく受身に回っていたら、あっさりと俺は長門に屈服していただろう。
俺の間抜けな声と反比例するように長門は落ち着いていったようだった。荒かった呼吸も整いつつある。すると長門は我慢しきれないのか、早くも腰をくねらせていた。やばい、その動きは危険だ。どう危険かといえば、動くたびに色んなとこが絞められる感じでやばい。中へ中へと誘うように、長門が俺のを緩やかに、絶妙な力で絞めてくる。
「はぁ……あっ……せ……い…………ぎょ……で……き…………」
途絶えながら、健気にも俺に謝ろうとする長門。もういい、そういうのはいらん。俺は長門に感じて欲しいのであって、俺にどうしろと言ってるわけじゃない。俺は長門の耳元で、
「我慢しなくていいんだ、お前の好きに動いてくれ」
そう囁いた。それだけで長門の中が一気に潤んでいく。溢れ出した蜜が二人のくっ付けた太ももの間を流れ、動きをスムーズにしていった。始めは恐る恐る、探るようだった長門の動きが動かすたびに大きく大胆になってゆき、それに併せて苦しげだった息遣いに歓喜の声が混じる。
「あんっ! あんっ……あっ! い、やっ! ああっ! こ……れ……い……いっ! う……ご、か……さ……ない……でぇっ!」
俺は動かしてないし、動けそうも無い。快感に脳髄まで痺れさせられて声すら出なくなっている。動いているのは長門だけで、それは腰だけでなく胎内も全てが蠢動し、律動し、猥雑なリズムを刻んでいた。動くたびに中が温み、締め付けられる。
 俺の上半身は既に反応が不可能になっている。にも関わらず無意識に長門の胸を揉んでいたりもするのだが。ほぼ下半身に意識を持っていかれながら、それでももふもふ心を忘れない俺は気付けば長門の乳首を口に含んでいたりする。薄紅色に色付くそれを舌の上で転がせば、仄かな甘みを感じる。そして、俺の無意識は長門の弱点を攻めているようなものであって、
「だめっ! むね、やぁっ! あ……う……んんっ!」
 言葉と裏腹に俺の頭を抱えるように胸を押し付けてくる。その上で腰の動きを止めることも無く擦り付けてくるのだから、全身の密着度は確実に増す訳で。
「あ……う……きゃふぅ……あはっ……ふ……ん…………」
 ぐちゅ、とか、ぐちゃ、とか水気溢れる音が下の方から聞こえてくる。長門に胸を押し付けられ、呼吸が苦しくなりながら舌に触れる突起を甘がみすると、
「きゃうっ! あ、やぁっ!」
 敏感すぎる長門は頭から手を離して身体を仰け反らせた。何度目かの潮を吹いて下半身を濡らしながら、それでも無意識に、貪欲に腰を擦り付ける。その律動に俺の方が限界だった。
「な、がとっ! も、もう…………」
 その時、無我夢中で腰を動かしていた長門の足が俺の腰に絡みつく。
「…………いい」
 な、何を?! 驚く俺の意思と関係なくしがみ付いたままの長門が動きを早める。ちょ、ちょっと待て! そんなにしたら、
「出して…………膣内に……」
 いや、それはまずい! と、理性では分かっているのだったが身体は正直だった。長門の言葉どおりに中がうねうねと蠢いて俺を締め付ける。扱き上げるような襞の動きに、今まで奇跡的なくらいに持っていた俺はあっさりと限界を迎えた。
長門! 長門ォッ!」
 名前を呼びながら長門を抱き締める。同時に背中の中心から痺れるような衝動が駆け抜け、モノが膨らんだような感覚から一気に込み上げてくるような、
「あぁぁぁぁぁっっっっ!!」
 俺は、長門の膣内に全ての欲望を放っていた。尚も吸い込もうとするように絡みつく襞の動きに腰が痙攣する。
「熱い……精子が…………子宮を、蹂躙……してっ…………」
 虚ろな目で長門が呟く。半開きの唇から涎を垂らしながら、恍惚の表情で俺に身体を預けてきた。汗まみれの肌が急激に冷えてくる感触が気持ちいい。その中で、長門と触れ合っている箇所だけがまだ熱かった。
「わたしの……胎内に……あなたがいる…………」
 それは嘘ではない、まだ俺のは長門の中に入ったままだ。萎える事もなく、また長門の襞が萎えさせる事もなく蠢いているからな。休ませるつもりのない動きは絶え間ない快感を微妙な感覚で与え続け、それは長門も同様で喘ぎながらも感触を味わうように瞳を閉じている。
「…………質問がある」
 瞳を閉じた長門が俺の胸に顔を埋めて頬ずりしながら尋ねてきた。どうでもいいけど、冷静に質問しながら膣内を動かすのは止めてくれ。
「な、何だ?」
 よく声が上ずらなかったものだと思いながら長門に応える。どうでもいいけど、俺も長門の尻を抱えて撫で回しながら答えてはいけないのだろう。
「……んっ……もふもふ、とは……性行為のこと?」
 間違いなく違う。もふもふする度に性交渉を持つなんて話は聞いたことが無い。まあ、たとえそうだったとして、誰も話すはずもないけどな。
 しかし、俺はもふもふしたいと思ったから長門を抱き締めたのだし、それが色々な要素と相まって昂じた結果として今の状態にあるとすれば、もふもふの最上級が性行為という結論に達してしまうのだが、これは危険な理論である。
 というのも、もふもふの先が性行為であるのだとすれば、俺は最初にシャミセンをもふもふしたいと思っていたのだからシャミセン相手にそういう行為を行いたいという事になるし、妹でもいいという事は妹相手に性交渉を行う可能性もあったという事になってしまうので、この理論は成立しない。というか、させてはいけない。
 つまりそこから導かれる結論は、
「違うな。長門だからこそ、こうなったんだ。俺はもふもふしたかった以上に長門と性行為をしたかったということだ」
 となる、って、これもおかしくないか? 何だ、今の発言は。これではまるで俺が長門と性行為をしたくて堪らなかったみたいじゃないか。ああ、そうなるんだけど。
「……そう」
 長門は一言だけそう言うと、腰を艶かしくくねらせた。止めろ、それはやばい。まだ長門の中に入ったままの俺のが再び固さを取り戻していく。
「…………提案が、ある」
 な、何だ? 腰をグラインドさせながら声に艶を含めて長門が吐息のように囁きかける。俺は思わず生唾を飲み込みながら、長門の提案とやらを聞くことになってしまった。
 腰の動きを止める事も無く、長門は俺の胸から顔を上げる。その瞳が潤みきって、涙が乱反射して輝いている。誘うように開いた可憐な唇から零れた言葉が、俺の理性を崩壊させた。
「もっと…………もふもふ、して?」
 羞恥と興奮で声を震わせながら。ピンクに染まった頬で。涙で光る瞳で。そのくせ、俺を包み込む中は熱く潤んだままで、じんわりと締め付けながら。



 長門有希に甘えられている。もっと、と懇願されている。



 我慢出来るはずが無かった。我慢する馬鹿がいるはずもなかった。我慢出来ない馬鹿とは俺の事であり、そんなもん馬鹿で十分だったから俺は我慢などしないのだ。
「分かった、何回でもしてやるぞ!」
 俺は長門の腰を抱えて引き付ける。より深く入り込んだ感触に、長門が「あんっ!」と可愛い声を上げた時だった。






「おっまたせー! さあ、みくるちゃんを着替えさせるわよ!」
 ノックもなしに飛び込んできたのは団長以下略であり。
「え?」
 あ。
 状況的には俺は下半身丸出しで全裸の長門に大股広げさせて跨らせている。というか、繋がっている。それをハルヒが認識して叫び声を上げようとした瞬間、小さな呟きが聞こえた気がして。


 俺の記憶はここで途絶えている。


















「どうなったんだ?」
「記憶を改ざんした。留守番をしていたわたしが体調を崩した事により、あなたはわたしを家まで送り、彼女達は解散したことになる」
「見舞いとかに来るんじゃないのか?」
「大丈夫、寝てしまったので見舞い不要。翌日は普通に登校する。わたしは貧血で倒れただけだった」
 そこまでシナリオが出来ているのか。しかし、
「だったら服を着て留守番してたふりだけでも良かったんじゃないのか? わざわざ欠席まで演出することは無かっただろ」
「ダメ。我慢出来ない」
 何を、とは言う必要は無かった。俺も多分我慢など出来たとは思えないからな。
 長門の部屋で、裸の二人が抱き合っている。その事実だけが互いの思いを表しているだろう。
「もっと、もっとわたしを、もふもふして?」
 分かってるよ。俺は長門を抱き締めてキスをする。繋がったままのそこが再び熱を持って潤んでくる。
 ゆっくりと腰を動かすと、長門の唇から甘い声が漏れてきた。
「もっと…………」
 ああ、まだ時間はたっぷりある。思う存分、お前をもふもふしてやるさ。
「あ、うんっ! もっとぉ……もふもふ……してぇ…………」
 早くも表情を蕩けさせた長門が我慢しきれずにしがみ付いてきて。



 いや、もふもふって本当にいいものなんだな。何度目だか分からない射精感に目の前を白く染めつつ、俺はそう思った。
 こうして俺と長門は、朝が来るまでもふもふしていたのだった。
 




 ちなみにオチなどは存在しない。あえてオチをつけるならば、これ以降毎晩長門の家に行く事になった俺が一時的に入院を余儀なくされたことくらいだろう。
「…………ごめんなさい」
 そう言った長門の見舞いがエビオスとウナギの肝とスッポンの生き血だった。


 まあ、そんなオチだったとさ。