どこに行ったんだ、自律神経

上がったり下がったりなんでテンションバランスが悪いのですよ。やらなきゃとかやろうとか思いながら後回しにしすぎです。多分ツケはどこかにくる、というかもうきている。
なので愚痴になる前に雑記も回避するのさ。頑張って、蔵人さん(自分で言ってみた)


ああ、何も更新ネタがないので龍泉堂奇譚でもお楽しみください。楽しくないですか、そうですか。

拍手ありがとうございます

コメントはありませんでしたが拍手はもらえていました。ゼロだったら多分泣いてたと思いますけど、更新出来てないから仕方ないのかもなあ。

・拍手お礼は十種類。一見さん大歓迎。

龍泉堂奇譚

 とある街に不釣合いな小さな森がある。そこには小さな泉と、その畔にこれも小さな草堂がある。泉には龍が住むと云われ、それを護る人々がいた。
 人はその森全体を称して龍泉堂と呼んだ。これは小さな泉と龍と人の物語である。

 季節は未だ寒気を帯びている冬の盛りの事である。無事に三学期を迎えた龍堂有希は来年の今頃は受験で死にそうになっている自分を予測しながらも別段努力をするでもない高校二年生の日常を過ごすはずであった。
 そう、あくまで過去形である。というのも無事な高校生活が送れなくなったからに他ならないからだ。原因は幼い頃から大切にしてきた泉のせいである。正確に言えば泉に住んでいると云われ続けてきた龍の仕業であった。
 ファンタジーなどとは無縁に暮らしていた有希の目の前にファンタジーの住人であるはずの龍が現れたのだ。しかもお約束なことに人の姿になって。
 そいつはその場で蔵人などと名乗り、おまけに龍泉堂に住み着いてしまったのである。これが現実ならば警察にでも通報すればお終いのはずだったのに。何と蔵人は泉の上を歩いた挙句に神通力だか何だかを有希の目の前で見せ付けてきたのだ。信じざるを得ないだろう、これが手品ならタネを教えてもらいたい。
 結果として龍泉堂の泉は泥水から澄んだ清水となり、泉に放していた金魚の金八は元気に泳いでいる。しかも龍である蔵人は有希に頭を下げ、龍堂の家の為に尽くすとまで言ってのけたのだ。これが夢ならいい加減覚めてもらいたいけど、家に帰って寝ても何も変化は無いのであった。
 有希の結論は現状維持だった。別に有希が欲の無い人間だというのではない、あまりに非現実な状況に頭がついていかないだけだ。それにいざとなると何をお願いすればいいのか分からない、宝くじより確実なはずなのに全然現実味を感じなかった。
「はあ……」
 という事で、ため息をつくしかないのが現状だ。考えてどうにかなりそうな気がしない。
「おいおい、有希ぃ? 何だってんだよ、ため息なんかついてさぁ」
「そうですともですよ有希ちゃん、幸せが逃げちゃいますですともですよ?」
 有希の両隣を歩く同級生から声をかけられ、慌ててさっきのは無し! と否定した。
「頼むぜ有希よぉ、久々に三人揃って帰れるんだからな?」
「そうともです、その為に加奈ちゃんさんは部活までサボったのに」
「いらんことゆーな、優衣」
「あはは、ゴメンね加奈、優衣」
 確かに一緒に帰るのは久しぶりだ。緋浦 加奈子(ひのうら かなこ)は陸上部のエースであり、大貫 優衣(おおぬき ゆい)は学年上位の優等生で次期生徒会長の呼び声も高い才媛である。正直なところクラス以外で三人揃う事の方が珍しいくらいなのであるが、それは有希が龍泉堂の管理を優先していたからでもあった。
 それをふいに加奈子と優衣と一緒に帰ろうと思いついたのだ。端的にいえば現実逃避の為に友人をダシに使おうとしているようなものなのだが、二人は喜んで有希の提案に乗ってきた。
「いっつも真っ先に帰る有希が誘ってくれたのに部活なんか出来っかよ。ったく、あたしは家が近所だから事情を知ってっけど普通は友達甲斐無い奴扱いだぜ」
「そんなことないですともです。有希ちゃんはお家の事情があるのですから仕方ありませんですともです。それなのに私たちともお友達でいてくれるなんて優しいと思いますですとも」
「おめーはいっつも大袈裟なんだよ」
「加奈ちゃんさんは大雑把なのですともです」
「なにをぅ?!」
「はいはい、やめやめ」
 加奈子と優衣が言い合いを始めて有希がそれを止める。学校でもどこでも三人揃えばいつもの光景であり、本人達もそれを楽しんでいるのだから傍目から見れば羨ましいほどの仲の良さである。止める役を任される有希としては些か面倒ではあるものの。
「大体なあ、優衣」
「なんでしょうか、加奈ちゃんさん」
 ああ、また始まった。有希がため息をついたのにも気付かない二人はいつものやり取りを開始する。
「おめーが転校してきたのはいつだ?」
「もうかれこれ半年になろうかというものですともですよ」
「そんで転校したばっかのおめーは人と話をするのが苦手だってんであたしらと話すときも敬語だったんだよな? まあ今も変な話し方だけど」
「余計なお世話さまなのです。それがどうしたのですかのです?」
「その時あたしと有希は言ったはずだ、さん付けなんかすんなってな。その代わりにちゃん付けで呼んでもいいとは言った」
「はい、それはそれは私は感動いたしましたですともです。右も左も上下すら分からない私には救いの光そのものでしたものです」
「だったら何で有希には普通にちゃん付けであたしは『加奈ちゃんさん』なんだよ? 加奈ちゃんでいいじゃん、さんいらないじゃん!」
「それはその〜、まあノリと言えば聞こえがいいのですけど〜」
「良くねえよ!」
「正直、その方が面白いのですともです。それに妙に言いやすいのがポイントなのですともです、加奈ちゃんさん」
「おめーなぁ……」 
 このやり取りを飽きもせずに半年以上繰り返しているのだ。最初の内はハラハラしていた有希なのだが、今となってはコミュニケーションなのだと思うしかない。というか、コミュニケーションだろ。一々間に入る方の身にもなって欲しいわ、というのが有希の本音である。
「はいはい、こんなとこで立ち話もなんだから帰るよ」
 二人の後ろに回りこんだ有希は双方の肩を押して歩かせようとする。
「おい、止めろ有希、今日こそはこの電波系女にまともな会話というのを教えこんでやるんだからな!」
「そうですともです、スポーツばかりしてる男勝りのマッシヴグラマーに知性の光を見せ付けてやるのですともですから」
「胸の事はゆーな、このペタンク!」
「誰がフランス発祥のボール投げゲームなのですかのです!」
 再び言い合いが始まりそうな二人の勢いに有希の方が先に爆発した。
「あーもう、うっさい! いいから行くよ!」
 二人の肩を押すのではなくその手を持って引いて歩き出したのだ。
「っと、と待てよ有希ぃ!」
「あらあらら、ごめんなさい有希ちゃん〜」 
 いきなり引っ張られてバランスを崩しそうになりながらも有希につられて歩き出す。こうなってしまえば有希には逆らえない二人なのであった。それでも三人が本当にケンカなどしたことは皆無であり、怒っているような有希も困っているような加奈子や優衣も笑っているのであった。
 やはり友人とはいいものだ、さてこの後はどこか寄り道でもしてたまにはゆっくりするか。などと思っていた有希なのだったが、そうは問屋が卸さなかった。
「おう、有希じゃないか」
 気楽さしか感じない声、聞き慣れたくもないが印象には残ってしまう。というか、忘れたくても忘れないのだ。
 何故ならば毎日こいつの声を聞いているのだから。嫌なんだけど居るのだから仕方がない、しかも意外とこいつ話好きだし。
 いつもの底の厚いブーツに古ぼけたジーンズ、何枚あるのか洗いざらしのシャツに一張羅の黒いジャケットを羽織る。何が入ってるのか分からない真っ赤なリュックを背負った男は初対面の時と何ら変わらない笑顔で有希たちに手など振っているのであった。
 彼こそが有希の悩みの元凶であるところの龍泉堂の本来の主である龍の化身、その名も蔵人。名字は泉野らしいが全て初対面時に適当に本人が名乗ったものである。
「げっ?!」
 無論手を振られた側の有希は露骨に嫌な顔をする。当たり前だ、こいつに会いたくないからわざわざ友達を誘って龍泉堂の管理をサボってるのに。いや、サボったのがバレたのか! コレはまずいのである、何と言っても有希は龍泉堂の護り手であって管理の全責任を負っている(らしい)のだから目の前の男が龍泉堂の主(ただし有希非公認)である以上は色々とやばそうなのだ。
 ということでキョトンとしている二人には悪いのだが、まずはこいつをどうにかしないと。
 有希は友人二人に聞こえないように蔵人に近づくと、
「なんであんたがここにいるのよ? 大人しく庵で寝てなさい!」
 身も蓋もない言い方で蔵人に帰れと言うのであった。しかしそこは長年生き続けている龍である、蔵人はあくまでへらへらと、
「そうは言うがな? せっかく久々に生まれ故郷に戻ったんだ、懐かしく散策したところで罰は当たるまいて」
 家出していた放蕩息子が帰ってきて物珍しく故郷を見渡すような感覚で若干古めかしい言葉遣いを駆使しているのだった。
「今、正にあたしに当たってるわよ!」
「何が?」
「罰よ!」
「何で?」
「知るかっ!」
 お前が居るのが即ち罰だなどとは流石に言えないが、まさか龍が現れて龍泉堂に住んでるなどとも言えるはずもない。つまりは何も言えないのだからこれが罰と言わずに何というって話なのだ。
 おまけに当の蔵人本人は分かっていないのか爽やかに笑うだけなのだ、悪気の無さが腹が立つ。そんな有希の苛立つ内心など何処吹く風、蔵人は有希の肩越しから優衣と加奈子を見やると、
「お、ご学友か」
 しまった、と思ったときにはもう遅かった。止める間も無く蔵人は優衣と加奈子の前に立っていたのだ。先程からの流れについていけずに呆然としている二人に爽やかながらもどこか抜けたような笑顔の蔵人は、
「ふむふむ、勉学に励むは近代の若者らしいな。今は女性も学ぶというのが当然らしい。何にしろ重畳重畳」
 頭まで撫でそうな勢いで笑う蔵人を見て有希は肝を冷やす。龍である蔵人にとっては自分たち人間のやってる事など百年一昔のレベルなのだろうが、見た目は自分たちと変わりはないのだ、大体どうしてそんな物言いしか出来ないのだ、こいつ。
 とりあえず蔵人をここから引き離さねばならない、という事は分かっているのだが何と言えばいいのだろう? 有希が躊躇している間に話しかけたのは好奇心だけは人の数倍はあると自称している優衣であった。因みに好奇心の犠牲になるのは主に隣に立っている友人であり、最後にフォローするのは有希なのだ。
「ええとぅ? あなた様はどなた様でございましょうですかしら? 有希ちゃんの関係者さんならばご挨拶致したいのですけれどもですけど」
 奇妙な言葉を駆使する優衣に、
「おうおう、人とは名を以って己を表すは久方に思い出したばかりだ。名乗る名は蔵人、泉野 蔵人と言うぞ」
「あらあら、これはご丁寧にありがとうございますです。私は有希ちゃんの親友であるところの大貫 優衣と申しますです」
 ダメだ、何というか会話として成立する予感がしない。さりげなく親友と言ってくれた優衣は嬉しいのだが、このままでは日が暮れるようなペースで話されそうなので有希は自分が間に入ることにした。というか、早めに切り上げてここから逃げたいのだ。
「ええと、優衣、加奈? こちらは泉野 蔵人さん。ちょっと事情があって今は龍泉堂に住んでるの」
「そうなのですか? 私は初対面なのですけれども、有希ちゃんとどのようなご関係なのですか?」
 優衣の追求に有希が言葉に詰まる。親戚とでも言うべきなのだろうが、しかし加奈子が居るので誤魔化せるような気がしない。
 しかもここで余計な事を言う輩がいたのであった。蔵人は優衣の質問に我が意を得たとばかりに、
「うむ、龍堂の家には多大に世話となっているでな。人の言葉として言うならば、有希は俺の主人となるぞ」
 などと言い出したのだ。ちょっと待って! あんた勝手に、と有希の方が慌てている。
「はあ? 有希ちゃんがあなたのご主人様なのですか?」
 今一どころか今三つくらいに理解の出来ない顔で、流石の優衣が呆れている。蔵人相手では話にならないと悟ったのか、
「あのう、有希ちゃんのお家ではこの方にお金でも貸していらっしゃられるのですか? それとも何かご商売でも始められたのでしょうか?」
 意外と真っ当な解釈で今度は有希に聞いてきた。
「え、えーと、そう! 彼は考古学を専攻してて龍泉堂の歴史を調べたいって! だからウチに来たのよ!」
「え? でも主人とは……」
「家主! ほら、あたしんちが龍泉堂の管理者だから間借りしてる立場としては主人筋だって意味だと思うのよ? そういう事なの!」
 はあ、と一応は納得して…………いないのだが優衣はそれ以上追及するのはやめておいた。どうやら後から聞いた方が良さそうだ、話すかどうかは分からないかもだが。 
「まあ、ネタとして押さえておくにはいいのかもですともね」
「何か言った?」
 いえいえ、と笑う優衣に若干以上の不安を覚えつつも、
「ほら! 散策するならもういいでしょ? 早く行きなさいよ!」
 とにかくこの場を離れて欲しい蔵人をぐいぐいと押す有希なのだった。
「うむうむ、勉学に励むがいいぞ」
「今から帰るんだってば! いいから行って! 行け、このバカ!」
 必死な有希に根負けした訳でも無いのだが、蔵人はひらひらと手を振って去っていった。
 疲れた、一気に疲れた。けれど一息入れる間も無く有希は優衣に頭を下げた。
「ゴメンね、変な奴でしょ? あんまり気にしなくていいから。というか、存在を消してもらってもいいからね」
「いえいえいえいえ、なかなかの個性的な方ではありませんか。何か機会がありましたら是非研究の成果などお伺いさせていただきたいものですともですよ」
 それは勘弁してほしい。どうやって今後を誤魔化すかという新たなる悩みのタネを抱え込んでしまった有希は頭を抱えたくなった。それもこれも、あのバカ龍のせいなのだ。
 しかし今は気を取り直して、というか遊んで帰らないと気が済まない。そこで優衣と、
「加奈?」
「………………」
 先程までの会話にもまったく参加していなかった加奈子は呆然と前方を見つめていた。正に心ここに在らずといった感である。 
「ちょっと、加奈? どうしたのよ?」
 有希が何度か呼びかけたのだが、ああ、とか生返事だ。すると優衣が、
「ああ、なるほど」
 頷きながら一人納得すると、
「かーなーちゃんさん? もう行っちゃいましたですよ、かーれっ!」
 そう言いながら加奈子の胸を後ろから鷲掴みにした。
「ちょ、優衣?!」
「わきゃあっ?! な、なにすんだ優衣っ!」
 さすがに気付いた加奈子が慌てて優衣を振りほどく。そのまま胸を押さえた加奈子など見向きもせずに優衣は自分の手を見つめていた。
「相変わらず反則級なまでの感触なのですから。これが戦力差というものなのでしょうか……」
 ため息をつく優衣に真っ赤な顔の加奈子が食ってかかる。
「お前なぁ、あたしがちょっと気を抜いたからって何しやがるんだ! しかも人の胸揉んでおきながらため息つくなっ!」
「何してんだ、はこちらのセリフなのですともです。まったく、男勝りでスポーツ万能で巨乳でありながら心は乙女ってどれだけ属性くっ付ければ気が済むのでしょうか、この人は」
「なっ?! だ、誰が乙女だ!」
「殿方を見てボーっとしてるような乙女なんて加奈ちゃんさん以外にここには居ませんですともです。今時少女漫画でも見かけないほどの見事な一目惚れフラグに、何このテンプレと言わない私の理性に賞賛の嵐なのですともですよ」
「しっかり言い切ったじゃねえか! それに、その、何だ? ひ、一目惚れなんかあるわけないだろ!」
「え、今度はツンデレですか? この欲張りさん」
「誰がだーっ!」
 顔から炎を上げそうな程に真っ赤になった加奈子が優衣を追い回す。何故かこんな時だけ身軽な優衣が軽々とかわす中、首を傾げた有希が困ったようにこう言った。
「あのさ、さっきから何で加奈が怒ってるの? 優衣が何か変なこと言った?」
「へ?」
「はあ?」
 本当に分からないといった風の有希を見て二人の動きも止まってしまった。
「い、いや、何でもないぞ? ほら、優衣とのいつものやり取りだよ、うん」
「ここに来て何も感じ取れないとは流石有希ちゃんなのですともです。そのおニブなところも含めて素敵なのです」
「それって褒めてないよね?」
「いえいえ、変に感心など持って欲しくはないですともです。私の有希ちゃんが男子になど興味を持たれても悲しいではないですかです」
「…………待て、何かお前不審な事を言わなかったか?」
「気のせいではないですか?」
「いや、違うだろ! 何だよ、私の有希ちゃんって! もしかしてお前、そっち方面の人なのか?」
「そんな事はないですともです。私が性的に愛するのはあくまで有希ちゃんだけであって、もしも私がノンケでもホイホイ食っちゃうような人だったらまず最初に攻略されるのは加奈ちゃんさんではないですか」
「大威張りで言うセリフかーっ! っていうか、攻略って何だ、あたしはそんなに落ちやすいのか? 何よりも友人が百合なんて言えるかーっ!」
「ねえ、百合って何なの?」
「それは私がお布団の上でご説明して、」
「皆まで言わすかーっ!」
 怒鳴る加奈子に淡々と答える優衣。有希だけは訳が分からずキョトンとしていた。
 そんな大騒ぎがある程度落ち着いたのは加奈子が息切れを起こしたからだった。加奈子は既に肩で息をしている。
「ハアハア、な、なんでこうなるんだよ……」
「落ち着いて、加奈」
「だから有希も少しは慌てろよな……」
「全てを含めて有希ちゃんではないですかです」
「おめーは黙ってろ! って、もういい!」
 またも不毛な言い合いになりそうだったので加奈子は無理矢理話題を変えた。
「おい、有希、優衣! 今からカラオケ行くぞ! 何かもう歌でも歌わないとストレス溜まるぜ」
「いいですともです、加奈ちゃんさんの憂さ晴らしにお付き合い致しますともですとも」
「……誰のせいでこうなったんだよ」
 ため息をつく加奈子だったが、有希はこれを好機と捉えた。今なら有耶無耶で騒いで終れる! という事で、
「そうね、あたしも何かむしゃくしゃしてたからパーッと騒ごっか!」
 言いながら両腕で二人の肩に手を回す。
「お? 珍しくノッてんな」
「有希ちゃんが行くならば私はどこであろうと付いていくのですともです」
「よーっし! 遊ぶぞー!」
 三人でカラオケなんて本当に久しぶりなのだ、色々あるけどとにかく忘れたい。肩を組んで歩く加奈子と優衣を見て有希は笑うのだった。