『SS』 鶴にゃんのお気楽お悩み相談!:Dialogue

めがっさっ! やあやあ鶴屋さんだよっ! さーって、今から『鶴にゃんのお気楽人生相談!』をお送りしちゃうよん。このコーナーはみんなのお悩みをこの鶴にゃんがバシーッと解決しちゃったりするコーナーなんだよ! だいじょーぶ、あたしもそんなに経験豊富なんて言わないけど、ちょろんと人には言えないコトを話しちゃってみないかい? もしかしたら何か解決のきっかけにでもなるかもしんないよ? ねっ? だから鶴にゃんにドーンとお任せあれっ! では、スタートにょろっ!」




「ということでお悩み一人目だねっ! 名前は匿名にしておくから安心だよ、音声もちゃんと変えてるからね。ではお悩みをどうぞっ!」
「あ、あの〜、あたしですね? いつもドジばかりで皆さんに迷惑かけっぱなしというか、足を引っ張っちゃってるみたいで申し訳なくて……」
「うんうんっ、自分が失敗が多いんじゃないかってことだね? じゃあまず何で自分が失敗しちゃってるのか考えてみよっか!」
「え、え〜と…………多分あたしが人よりおっとりしてるっていうか、どうしても動作が遅れちゃってるんじゃないかとは思うんですけど」
「あっはっは! そりゃ仕方ないよっ! そんなにおっきなおっぱいしてたら動きだってトロくなっちゃうってもんさね」
「つ、鶴屋さ〜ん、酷いですよぉ……」
「ゴメンゴメン、でもそんな君をみんなは迷惑だって言ったかい?」
「えっ? そ、それは…………正面から言われたりはしないですけど、でも、」
「はい、この話お終いっ!」
「えっ、ええっ?!」
「だって君はみんなに愛されてるもん、トロいっていうのも愛嬌だって! それに言うほど動作が遅いなんて思わないよ? 君に足りないのは自信だって!」
「で、でも〜、皆さんに迷惑をかけてるのは確かですし〜」
「おんや? それは皆さんなのかな〜?」
「へ? い、いえ、皆さんですけど……」
「そうなの? 誰か特定の人に迷惑かけちゃってるって思ってるんじゃないかな〜?」
「えっ? あっ、それは、そんな……」
「その迷惑かけてるってのは男の子かな?」
「ふぇ? あ、はい……」
「ふ〜ん、だったら平気だよっ!」
「え?」
「だって男の子は女の子に迷惑なんてかけられたいもんさっ! それも可愛い女の子だったらモーマンタイッ!」
「そ、そんなぁ」
「大丈夫っ! もっと君は甘えちゃってもいいと思うよ? それを受け止められない子じゃないんでしょ?」
「あ、え…………はい」
「だったら大丈夫っさ! きっとその子は君だから頑張ってくれるんだよ」
「でも……あたしには無理なんです」
「ん? 何がだい?」
「あたし……………………みんなとずっと一緒には居られないんですから」
「だから?」
「えっ?」
「だからどうしたって言ってんだよ。今は一緒に居られないかもしれない、だけどずっと未来のコトまでは分かんないよ?」
「それは……」
「今はダメでも君はきっとまた会いに行くよ! 多分だけどそう思うんだ!」
鶴屋さん……」
「でもその為にはもっともっと君が頑張んなきゃだけどね? 大丈夫っ! 君なら出来るっ! あたしが保証してあげちゃうよっ!」
「あ、ありがとうございます、鶴屋さん!」
「いいっていいって! ちょっとは助けになったかな?」
「はいっ!」
「うん、いい返事だ!」








「さーって二人目さんだね? そんじゃ行ってみようー」
「………………」
「わーお、いきなり沈黙はおねーさん困っちゃうなあ」
「疑問がある」
「そうかい? あたしで答えられたらいいけどねっ」
「わたしの事。わたしは本来の役割を逸脱した行為を繰り返した。それはわたしが異常を来たしているからではないかと推測される」
「ふむふむ、逸脱ねぇ」
「わたしの立場を考慮した場合、このように会話をしている時点で逸脱行為であると言える」
「でも来ちゃったんだよね?」
「そう」
「君は誰かに聞いてもらいたかったんだよ。それであたしを選んでくれたのは嬉しいかなっ!」
「…………わたしの異常を、」
「ちょーっと待った!」
「何?」
「さっきから異常だとか逸脱なんて言っちゃってるけどそれってどういう意味なのかな?」
「それは、わたしが本来の目的以外の行為を行っているから」
「それでいいじゃないかっ!」
「…………?」
「あたし達は生きてるんだから目的や目標を持つってのは大事な事さね。だけどそれにだけ拘ってたら疲れちゃうにょろよ? 現に君はちょろんとお疲れだったんじゃないのかな〜」
「分からない。わたしには疲労という概念が理解出来ない」
「うん、君はいつでも頑張っちゃってるかんね。あたしも尊敬しちゃうけど見えないとこで疲れてたんだと思うんだ、まったく疲れない人なんていないよ」
「そう」
「そうだよ、君は何でも一人で抱え込みすぎちゃったんだと思うんだ。それだからこうして話す事まで遠慮しちゃうんでしょ?」
「…………」
「いいんだよ、もっと君は言いたい事言っちゃってさ」
「…………同じ事を言われた」
「ん? 誰にだい?」
「………………」
「あ、いいよ、別に無理に訊いてないからさっ! でも、その、多分彼かな? その人に言われてどう思ったんだい?」
「何故?」
「えっ? 何が?」
「何故彼、と? わたしは何も話してはいないはず」
「うーん、女の勘ってやつかな?」
「理解出来ない」
「あははは、まあ種明かしすると同じ事言われたって君が言った時に少しだけ声が優しかったからさ」
「わたしの表情及び声帯には変化は無かった」
「でもそう思っちゃったんだもんね、だからきっと男の子だろうなって。それも君が信用出来るくらいのさ」
「そう」
「うん、それでどう思ったのかな?」
「説明出来ない、わたしにはそのような時にどのような言葉を選択すればいいのか分からない。だが結果としてわたしは彼を苦しめてしまった。その責任を未だ果たせないまま、彼にそう言われてしまった」
「ふーん、凄いねその子。そんなに大変な目にあったのに君の心配をしちゃうんだ」
「わたしは、どうすればいい?」
「うん、そうだね…………そのままでいいんじゃないかな?」
「何故?」
「その男の子は君に何かしてほしいって言ったかい?」
「…………」
「だろうね、君が本当に心配だから何も言わないんだと思うな。だから君に出来ることは一つしかないよ」
「なに?」
「彼を頼っちゃえばいいんっさ!」
「それは、」
「その彼は君が抱えて疲れちゃうよりも自分が頑張って君の支えになりたいんだと思うよ?」
「しかしわたしは彼を守るべき立場、彼に負担をかける訳にはいかない」
「んー、それが違うんだ。彼は負担をかけて欲しいんじゃない、君の負担を分けてほしいと思ってるんだよ」
「負担を…………分かつ?」
「そう、君にだけ負担をかけたくないんだよ! だから本当にその子を信用してるなら、もっと君は彼に甘えちゃいな!」
「いいの?」
「いいよ! 多分彼はそれを喜んでくれると思うな、あたしは確信してるけどね!」
「…………そう」
「うん、だから心配しないで彼の胸に飛び込んじゃいなっ!」
「出来るかどうかは分からない。でも………………やってみたい」
「うんうんっ! 青春だねえ、頑張るにょろよ?」
「…………了解」









「さてさて、今度は三人目だね? ちょっとお待たせしちゃったかなあ、怒んないでね? ではどうぞっ!」
「え、え〜と…………鶴屋さんが人生の先輩だと思って相談したい事があるんだけど」
「おやぁ? いつもの君からは想像出来ないほど大人しいにょろね?」
「ちょ、あたしはそんな! 一応先輩だし、今回は相談ってことで少しマジメにって言うか」
「ああゴメンよ、君はほんとは素直な子なのは分かってるからついからかっちゃったんだ。それにしおらしいのも可愛いにゃあ、たまにはそういうのもいいんじゃない?」
「もう、ちゃんとやってよ鶴屋さん!」
「こう見えても結構真面目にやってるよ、さあ何を悩んでるのか聞かせてくんないかな?」
「…………あたし、おかしくなったみたいなの」
「んん〜? どうしたんだい急に?」
「……どうしても見ちゃうのよ」
「何をだい?」
「あいつを」
「あいつ? ってことは男の子なんだね」
「あっ! い、いや、それって言葉の綾ってやつだから! 別に他意は無いのよ、あいつだろうがあの人だろうが関係ないもの!」
「うん、どっちにしろ男の子なのは分かったからいいよん」
「う〜…………」
「あははははは! まあいいじゃないかっ、変に目立っちゃって目に入るような子はクラスに一人はいるもんだよ」
「そうじゃないのよ」
「にょろ?」
「そいつは別にクラスで目立ってる訳でもないし、どちらかといえば冴えない顔してるし、いっつも年寄り臭い事言うか屁理屈ばかりであたしの言う事に反対ばっかしてるし」
「ああ、その彼の事が嫌いなんだね?」
「き、嫌いな訳ないじゃないっ!」
「ふ〜ん……嫌いじゃないんだ」
「あ…………ず、ずるいわよ、誘導尋問じゃない」
「どちらかというと墓穴掘ったって感じだけどね。で? 君はどうしたいんだい?」
「どうしたらいいのか分からないのよ……」
「え?」
「あたしはそういうのって精神病みたいなものだと思ってるし、今だってそうだわ。それにあいつとは言い合いばかりだから今更どう接していいのか分かんないのよ」
「ぬっふっふ、ほんとに君は可愛いねえ」
「な、何を、」
「そんじゃあさ、そんなに言い合ってる彼が一度でも君の事嫌いだなんて言ったのかい?」
「それは…………でも陰では何言われてもしょうがないかなって」
「そんな事言う子なのかい、その彼は」
「そ、それはでもあいつが、」
「信じてるんでしょ? そんな事言う人じゃないって」
「………………」
「君は本当に人の事を良く見てるからね、だから彼の事を信じてるからつい甘えちゃってるんだよね」
「そ、そんなこと、」
「あるんじゃないのかい? その子も甘えさせちゃってるみたいだし」
「う〜、鶴屋さん意地悪いわよ」
「何だい、ノロケ話じゃなかったの?」
「そんな訳ないじゃないっ!」
「あっはっはっは! ゴメンゴメン、ちょろんと言いすぎちゃったかな。だけど君が甘えてるってのは本当だよ?」
「えっ?」
「それをその男の子は文句を言いながらも全部受け止めちゃってるんだ、きっとね。だから君が目を離せないんじゃなくて、ずっと彼を見てないとダメなんだよ」
「そ、それって」
「うん、精神病って言うのは簡単さ。だけど病気だから何なんだい?」
「え……」
「治らない病気だから? そんなの言い訳さ、だって君のオヤジさんとオフクロさんだって病気に罹ったから今の君がいるんだからさ」
「それとこれとは、」
「一緒だよっ! だからね、怖がらなくてもいいんだよ」
「怖い? あたしが怖がってるっていうの?!」
「そうさ、君は怖いんだ。もしも彼に甘えて、彼に嫌われたら一人になっちゃうって思ってるんだよ」
「………………そ、そんなこと」
「心当たりがあるんだね?」
「う、うん……」
「それを彼は知ってるのかな?」
「ど、どうなんだろ……」
「はっは〜ん、どうやら分かってるのかもしれないねえ。それでも彼は君と一緒に居ることを選んでくれるんだね」
「どう、なのかな?」
「いいよ、君は君のまんまで。きっと彼もそう思ってくれてるんだよ」
「そうかしら? でも、」
「言い合いだってコミュニケーションだよ! だけどやりすぎには注意かな? 嫌ったりはしないだろうけど、そんな男の子を他の女の子がほっとかないと思うかんね」
「そ、そんな事無いわよっ! あんな奴にあたし以外の、」
「あたし以外の?」
「あ…………う〜、何でもないっ!」
「ふっふっふ、どうやら自覚はあるんだねえ」
「……いじわる」
「分かってるならいいんだよ、だからそのまんまの君でいいんだ。で、ちゃんと言える時が来たなら彼の正面に立ってみたらいいよ、きっと彼はちゃんと君を受け止めてくれると思うからさ」 
「………………ほんとに?」
「うんっ! その彼はそんな子なんでしょ? きっと待っててくれるさね」
「大丈夫かな……」
「たーだーし、君ももうちょっとだけ素直になんないとダメにょろよ〜?」
「え、え〜と、頑張る……」
「頑張れ少女!!」









「ふう、さてそろそろコーナーもお終いの時間になっちゃいました! 少しは力になれたかなっ? ではまたの機会にお会いしましょー!」
「あ、もうお終いなんですか?」
「おや、キョンくん? どうしたにょろ?」
「って俺は匿名でもないんですか」
「いや〜、もう終わりだとばかり思ってたから機材も全部片付けちゃったにょろ」
「そうなんですか、すいません遅くなりまして」
「いやいや、それよりキョンくんも何かお悩み相談なのかい?」
「まあそのようなものです」
「ほうほう、どんなお悩みかおねーさんに聞かせてもらえるのかなっ?」
「まあ悩みといいますかですね? ちょっと困ったことになりまして」
「ふむ、どうしたんだい?」
「ええ、この間他校の女生徒に告白されちゃいまして」
「にょろ?!」
「俺の友人の谷口って奴が光陽園の生徒とデートをしたんですけど、その流れで合コンみたいな感じになったんです。で、人数合わせで俺も参加させられたんですけど何かその中の一人の女の子が俺に告白してきたんですよ」
「へえ、それはまたモテモテだねえ」
「いや、女の子に告白なんかされたことないからどうしたものかと思っちゃって」
「え? 告白されたことないの?!」
「ある訳ないじゃないですか、自分で言うのもなんですけど」
「ああ、自覚が無いんだったね」
「はあ?」
「なんでもないにょろ。それでどうしたいんだい?」
「ええ、折角の機会なので付き合ってみるのも悪くないのかなとも思ってるんですけど、SOS団の活動もあるのでハルヒがうるさいかなと思いまして」
「うるさいのは別の理由かもだけどキョンくんも彼女とか欲しいんだねえ」
「そりゃそうですよ、俺だって高校生にもなって彼女も居ないなんてつまんないなと思いますって」
「あんなに女の子に囲まれてるのにねえ」
「あいつらはSOS団の仲間で大事な友人ですよ、向こうだって俺なんかよりまともな相手といくらでも付き合えるのに好きでああしてるんですから」
「わーお、無自覚って怖いねえ」
「何がです?」
「いや、こっちの話。そっか、キョンくんも正しい青少年なんだねえ…………………ふむ」
「どうしたんですか、鶴屋さん?」
「よっし決めた! キョンくん、その女の子には悪いけどお断りしちゃって!」
「え、何でですか?」
「その代わりって言ったらアレだけど、あたしと付き合えばいいよっ!」
「え、ええっ?! つ、鶴屋さんと俺がお付き合いするんですか?」
「うん、キョンくんさえ良かったらだけどね」
「いや、とんでもない! 俺なんかじゃとてもじゃないけど釣り合わないですよ!」
「何言ってんだい、あたしがキョンくんとお付き合いしたいんだよっ!」
「でも代わりだなんておかしいですよ」
「ああ、それ言い訳」
「はい?」
「そんな理由でもないとキョンくんが遠慮しちゃうかなーって。あたしは自分の意思でキョンくんの彼女になりたいんだからいいよね?」
「そんな、鶴屋さんみたいな人だったら俺よりももっと相応しい人が沢山いるじゃないですか」
「それってあたしの意思じゃないよね?」
「え?」
「あたしは、あたしの意思でキョンくんとお付き合いしたいって言ったんだよ? キョンくんはあたしじゃダメかな?」
「そ、そんな訳ないじゃないですか! 俺なんかで本当にいいんですか?」
キョンくんじゃないとダメなんさ! だから、あたしとお付き合いしてくれるかなっ?」
「俺で良ければ喜んで。じゃあ、改めて俺と付き合ってください」
「はいっ! そんじゃ行こっか、ダーリン!」
「ダーリンは勘弁してくださいよ……」
「あっはっは! いやー良かった良かった! これにて万事解決にょろ!」















「つ、鶴屋さんずるいです〜」
「まさかの裏切りフラグ」
「何なのよ、これー! あたしたち完全に当て馬じゃない! 鶴屋さんのバカーッ!!」