『SS』 Dialogue:古風なやりとり

「はい、熱いから気をつけてね!」
「わざわざすいません、まさか鶴屋さん自らお茶を淹れて頂けるとは思いませんでしたから」
「いいっていいって! お客さんをおもてなしするのは当たり前ってね!」
「はあ、それなのですが………」
「どーしたんだい、一樹くん?」
「僕は『機関』からの報告を鶴屋家に持っていくようにとの命令でして」
「ふーん、その割には手ぶらだねえ?」
「ええ、何も渡されないままにこちらへ向かうように言われたものですから」
「へえ、そりゃまた奇妙な話だねえ」
「しかも鶴屋さんが接客されるというのも意外でした」
「おや、どうしてだい?」
「鶴屋家のエージェントが対応するとばかり思っていたのですが」
「………そりゃ一樹くんだからね」
「何かおっしゃいましたか?」
「ううん、まあ色々都合があるってことじゃないかなっ?」
「はあ、『機関』の用件を最優先するはずなのに不思議です」
「まあたまにはそんな時もあるよっ! それともあたしがお世話するのは嫌なのかい?」
「いいえ、とんでもない。身に余る光栄ですよ」
「お? 上手い事言っちゃってくれちゃうねえ、おねーさんも一樹くんみたいなハンサムさんを相手にするのは照れちゃうよっ!」
「あはは、ありがとうございます」
「………本気にはしないかぁ」
「どうしました?」
「ううん! で、どうだい?」
「何がですか?」
「何がって一樹くんもおニブさんかい?」
「ああ、お茶ですか? 美味しいですよ、流石は鶴屋さんです」
「そっちじゃないんだけどなぁ…」
「何かありましたか?」
「何でもないよっ! でもよかったー、みくるみたいに上手くは淹れられないからねっ! ちょろんと安心したよっ!」
「いえいえ、朝比奈さんと比べても勝るとも劣りませんよ」
「そっか、よかった…」
「ええ、これなら毎日でもお願いしたいですね」
「ほんとに?! そんじゃ毎日でも飲んでくれるかい?」
「ええ、鶴屋さんさえ宜しければ」
「ふっふーん、ばっちし聞いちゃったかんね? 覚悟しとくにょろよ〜?」
「…………え?」



















「なあ古泉、お前が鶴屋さんにプロポーズしたってのは本当か?」
「は? 一体何を………」
「あ、あたしも聞いたわよ! 毎日お味噌汁作って欲しいなんて古風なのねえ」
「ど、どこからそんな………」
「毎日でも飲みたいなんて情熱的ですよね、憧れちゃうなあ〜」
「そ、それって……」
「…………お幸せに」
「………なんでこうなってるんですか………」