『SS』 わかめとツル

 むかし、といっても どのくらいむかしか けっこうどうでもいいはなし。
 あるところに いっぴきのキツネが おりました。キツネというか、そのかみがたは わか…
「あら、そらみみが」
 いっしゅん、さっきが とんできたので おもいっきり だまりこむことに します。とにかく、みどりのかみに ていねいな くちょうの わか……ゲフンゲフン……キツネがいたのですともさ。
 そしてキツネの どうきゅうせいで ツルも いちわ おりました。
「どうきゅうせいとは おかしな ひょうげんでは ないでしょうか?」
 まあ いいんじゃないでしょうか、どうせ あなたがキツネってことで だいぶ てんかいも みえてるでしょうし。
「それもそうですね、あなたの ひつりょくに きたいしては いけませんから」
 うっせーやい。とにかく、キツネとツルは どうきゅうせいでした。けっして ゆうじんでは ないところがミソだと おもいませんか?
「たしかに こうしきでは せってんが ありませんからね」
 それをいうな、にじそうさくだから できるんだから。みもふたもないキツネですが、まあこんなひとですから。
 ということで、おはなしは すすみます。
 



 あるとき、キツネは なにをおもいたったか、ツルを しょくじに しょうたいすることに しました。
 というのも、キツネは『なにを たかが ゆうきせいめいたいごときが こうしきイラストも フィギュアも わたしよりも おおいんでしょうか? というか あのフィグマでの くびだけというのも あんまりじゃないですか!!』という おもいが あったからです。
 けっして はらぐろキャラでは ありません、これは せいとうな こうぎというか、だって くやしいんだもん! ってことらしいですよ。
 それで なぜ しょくじなのかというのは またこのあとで。
「とりあえず はなしを すすめましょう」
 そのとおりでございます。で。
「おおー、えみりんから おしょくじに さそわれちゃったにょろ〜」
 とまあ、おきらくな はんのうを みせるのが だいじんぶつたるゆえんでしょう。ツルは まったく きにすることなく、わか、いえ、キツネの しょうたいを うけたのでした。
「え、え〜と、きみどりさんと つるやさんって なかよしなんですかぁ〜?」
 そういったのは、なぜか ほんぺんには でてこないウサギでした。いちおうウサギも どうきゅうせいですから。
「かわいい みくると いっしょに くらしてんだよ!」
 え、なにそのユリせってい? しかし つるやさんなので よしとしとこう。
「あ、あの〜、あたしの いしは…………」
「え? みくるは あたしと いっしょじゃ いやかい?」
「そ、そんなことはないですよ! つるやさんと いっしょなら たのしいですし」
「なら きにしないってね!」
 もともと とうじょうじんぶつが すくないから いいんじゃないでしょうか。ということでツルとウサギは なかよくくらしていました。
「それで きみどりさんなんですけど…………」
「いやー、ぜんっぜん せってんは…………あ、えみりんは せいとかいだっけ? そんで しってるんさ!」
 あ、そのほうめんが あったのか。たしか つるやさんは せいとかいをチェックしてるんだったような。そこんとこは げんさくでは サラッとながされてたけどね。いや、そのまえに せいとかいとか いったらダメなような。
「もうどうせ げんけいを とどめてないから きにしたら まけさ!」
 さすがは つるやさんです。なので みなさんも きにしないでね。
「それでしたら みんなで おしょくじも いいですね」
「そうだねっ! そんじゃ えみりんとこにゴー!!」
 などと、キツネの おもわくも なんのその、ツルとウサギは なかよくキツネのいえへと むかったのでありました。



 ところかわってキツネのいえ。
「ふっふっふ、これでツルをギャフンとばかりに…………」
「いや、なぜそんなことをしなきゃならんのだ?」
 あれ? またキャラが ふえてる。えーと、
「いえ、これもストーリーの てんかいじょう ひつようなのですよ? かいちょうも じゅんびしてください」
 あー、そういや こいつも どうきゅうせいだった。めがねの りちてきな せいとかいちょうは、えーと、
「ふむ、どうやら わたしもキツネらしい」
「ええ、わたしたち ふうふですから」
「なあっ?!」
 ええっ?! そんなせってい なかったはずだぞ? だいたいキツネは いっぴきって さっきかいたじゃんか!
「じょうほうそうさは とくいぶんやですから」
 いや、かきてまで そうさして どうする。というかですね?
「ちょっと待て! おれの いしは どうなってんだよ!」
 まあそうだよなあ。めがねを はずして ふりょうしょうねんモードになった かいちょうは だれにともなく ツッコミをいれました。
「あら? かいちょうは わたしと ふうふなのが ごふまんなのですか?」
 そういった キツネ(わかめ)のめには ひとすじの なみだが。さすがにこれはマズイ! かいちょうは いつものちょうしで、
「そんなわけあるか! おれは えみりと ふうふで いられるのは うれしい。だが、いきなり こんなとこに つれだされるのが しゃくにさわっただけだぜ」
 いいながら キツネどうしが だきあってます。なんだ? このひるドラ。ノロケか、コラ。
「かいちょう…………もうしわけありません、どうしても かいちょうと いっしょに いたかったものですから……………」
 なみだながらに だきしめられてるキツネの せいふくのポケットに めぐすりが じょうびされていることは かいちょうは しるよしもないのですけれど。
 とはいえ、これでキツネは ふうふなんだと。いつのまにか なしくずしに きめられてしまいました。
「では じゅんびに とりかかりましょう」
「うむ、どうすればいいんだ?」
「では、そのおさらを……………」
 こうしてツルたちは なにもしらないままに じゅんびは ちゃくちゃくと おこなわれていったのです。いったいツルのうんめいやいかに!!



 そんなことも しったこっちゃないツルごいっこうは、
「やほー! えみりん、あそびに きちゃったよん!」
「お、おじゃまします〜ぅ」
 たいへん おきらくに わかめ、じゃなかったキツネのいえへと やってきました。
「さきほどから ちょくちょく ふおんな はつげんが あるようですが、ようこそいらっしゃいました」
 チクチクとトゲがあることを いいながら、にこやかなかおでキツネはツルを むかえいれました。
 ツルはキョロキョロと あたりをみながら、
「おや? きみも ここにいるのかいっ?」
 と、めがねのキツネに たずねました。
「まあ せいとかいしつの ようなものだからな」
 だてめがねをクイッとあげた かいちょうは、どうやら えんぎモードですね。ウサギがすこしだけ こわがってます。
 しかしツルはニヤニヤと、
「ふふ〜ん、ふじゅんいせいこうゆうは ダメにょろよ〜?」
 まるで からかうかのようです。いや、からかってるな、これ。
「ふっ、なにをバカなことを」
 あざけるように わらうキツネです。でもクールにみえても ないしんドッキドッキですけど。いちおうふうふだし。ほら、もういっぴきのキツネさんの めがこわいしー!
「あっはっは! まあ、あたしは じゅんすいな どうせいこうゆうを たのしんじゃってるけどね!」
「はひゃあ〜、つ、つるやさ〜ん………」
 いいながらウサギをギュッと だきしめるツルさんなのでした。なんとも ほほえましい こうけいです。
「まあ、われわれのことは いいだろう。それよりも きみたちは きゃくじんだ、せっかくなので しょくじでも どうだね?」
 まあキツネとしては これがもくてきなのでツルとウサギを しょくじに さそいました。
「え、そんな〜、わるいですよ〜」
 しょうしんもののウサギは どうにもえんりょがちに そういいましたが、
「いやー、わるいねえ、ちょうど おなかもペッコペッコだったんさ! そんじゃ、えんりょなく およばれしちゃおっかなー!!」
 とまあ、ツルは ごうかい かつ、のんきに そういいました。それをきいたキツネの めがねがキラッと ひかります。
「そうか。では えみり、よういを」
「はい」
 うちあわせどおりに キツネ(わかめのほう)は しょくじのよういを しました。
「えみりんの てりょうりかい? こいつは たのしみだねえ!」
「そうですねえ」
 ということで まつことしばし。
「おまたせいたしました」
 しずしずと キツネが しょくじのよういを すませます。そのすがただけだと どこの りょうけの おくさまだと いわんばかりなのですが。
 そして、しょくたくには おいしそうな ゆげをあげた おさらがならんでいます。どうやらスープのようですね。
「わかめスープだね!!」
 ツルさん、それは きんくです。みるみるうちに ばのくうきが わるくなっていきます。げんいんは くろいオーラを かくそうともしない わかめ、もとい、キツネです。
「ふふふ、その のうてんきな わらいも ここまでです。ほえづらを かかせてあげましょう」
 もはや くろいほほえみを かくそうともしない かいさんぶつキツネです。そして、
「いっただきまーっす!!」
 とツルがスープをのもうとしたときです。
「にょろっ?!」
「え? つるやさん?」
 キツネたちがニヤリとわらいます。そうです、スープのおさらは そこがあさく、ツルのくちばしでは のめなかったのです。 
「ふっふっふ、どうした? まさか かんげいを うけないとは いうまいな?」
 めがねが ひかるキツネです。おお、なんか あくやくっぽい。  
「つ、つるやさ〜ん………」
「むむむ…………」
 これこそがキツネの ねらった わなでした。ほくそえむ めがねとわかめ。
 このままでは ツルはスープをのむことはできず、キツネに かちほこった かおをされて あかっぱじを かくことになります。どうする、ツルさん?!
 ウサギが ふあんそうな かおをしているなか、
「ほんじゃまあ、スプーンを かりていいにょろか?」
 あっさりと そういったツルさん。
「はい?」
「いや、スプーンを かしてちょうだいなって」
 えーと、スプーンですか? キツネとツルなのにスプーンとか つかえるんですかね?
「おさらが あるならスプーンも あるっさ!」
 そんな もとネタにツッコミいれるような……………
「どうする?」
「まあ、よろしいのではないでしょうか」
 だいたいスプーンがあったところで くちばしなら のめませんからね、というきもちを ことばの はしばしにのせながら キツネはスプーンを もってきました。
「はい、どうぞ」
「あんがとっ!」
 ツルは きようにスプーンを うけとりました。つばさなのに どうやってスプーンを もっているのかが ふしぎです。
「きんそくじこう ですから」
 あ、そのセリフのために いたんですね。ウサギさんにも でばんがあって よかったなあ。
 それにしてもツルは どうするんでしょう? 
「いっただきまーっす!!」
 ツルは げんきに そういうと、スプーンでスープを ひとくちすくい、おいしそうに のみました。
 


 …………じぶんのくちで。
「え?」
 さすがのキツネも おどろいています。だってツルが きぐるみなんて そんなネタでいくとは おもうまい。
 だから くちばしで のめなかったら じぶんのくちで のめばよかったってオチ。
「そんな まんがのネタで にげきるつもりですか?」
 にげきるつもりです。だってツルは、
「うん! おいしいよ、えみりん!」
 ごくごくふつうに まんぞくそうです。まあ おいしいといわれて ふまんはないキツネも、
「…………それは なによりです」
 どくでも まぜなかっただけ マシだったのかもねえ。
「そこまで しませんよ」
 そうですか。
「それよりも このあとは わたしたちがツルさんの いえにいって ビンかツボから さかなを たべるということに なってますけど」
 でもツルがスープを のめちゃいましたからねえ。いじわるされたリベンジって かんじでもないなあ。
「うっとこでも ツボなんか ださないにょろ! だって みくるが たべられないじゃないかっ!」
 あ、そういえば。ということは…………
「ふつうに めしを くったはなしじゃねえか?」
「そうなりますね、なんだったのでしょう」
 いや、あんたらが はじめたんですけど。
 とはいえ、ツルとウサギは おいしいわかめスープを のんで、そのあと キツネふうふが ツルのいえで さかなを ごちそうになりました。
「あら? あっさりと おわるのですね?」
 だって もうネタが ないんですもの。
「やはり あなたの ひつりょくでは こんなものなのですね」
 まったくもって そのとおりでございます。

 さくしゃの ちからぶそくが ろていした おはなしでございましたとさ。

 あー、めでたいめでたい。






「で、さあ? あたしたちの でばんってないままなわけ?」
「まあたまには ゆっくりしろよ、ハルヒ
「…………ながとぶんが たりなくなると さくしゃが」
 

ここでご相談

実はコピー本が結構余ってます(苦笑)そこで送料及び住所を教えてもいいという奇特な方がいらっしゃれば通販というか、差し上げようかなと考えております。
まあ送料がいくらなのか調べていませんので、まだ未定ですが。
それでも皆さんが欲しいかどうかは聞いておきたいなと思いまして、ここに書いておきます。もし万が一、読んでみてもいいや、と思ってくれたら拍手かコメント欄に「いいんじゃね?」と書いてください。まだ住所とかはいいですからね、大事な個人情報ですから。
ということで簡単なアンケートでした。