『SS』つるのおんがえし

むかしむかしのおはなしです。
あるところにひとりのおとこがおりました。
どこといってとくちょうもなく、あるいみへいきんてきなというわりにはキャラデザみたらもみあげがとくちょうてきなおとこのなまえはかりにキョン、としておきましょう。
「むかしばなしでキョンってのもないとおもうんだがな」
それはほかのサイトさんでもネタになったのでかれいにスルーです。ちなみにキョンがいるからといって、ばしょははっけいじまではありません。
「おそろしくわかりにくいネタだな、よみにくいのをいいことにすきかってやってんじゃねえよ」
とまあ、とにかくキョンはそのとうじのいっぱんじんだったということで。
そんなキョンがあるひブラブラとあるいていると、
「おーい! だれかたすけておくれーっ!!」
というおおきなこえがしげみのなかからきこえてきます。
めんどうごとにまきこまれたくない、げんだいしゃかいのもうしごキョンとしてはまったくむしをしてまわりのだれかがうごいてくれるさー、あしたニュースにでるかもなあとかかんがえてもいいところなのですが、そうはいかないのがこういうはなしのつごうというもので。
「おーい! キョンくーん! ちょろんとこっちにきてくんないかなー?!」
ストレートになざしされてしまえば、
「やれやれ」
としげみにむかうしかないのでした。じっさいキョンはなざしされなくてもこのこえのもちぬしによばれてことわるはずもありません。
というのも、
「…………で、なにをやってんですか?」
あきれたようにみているしせんのさきには、
「みてのとおりさっ! うっかりわなにかかっちゃったにょろ!」
ぜんぜんわなにかかったひそうかんをかんじさせないえがおであぐらをくんですわっているツルがいちわいました。
「というか、こんかいはこういうやくなんですね、つるやさん」
まあツルですから。しかしツルはニヤリとわらうと、
「そうはいうけどねキョンくん?」
ビシィッ! とつばさをキョンにむけ、
「みためはツルでも、こころはタカさ!!」
ちからづよくいいはなちました。
「でもツルですよね?」
「まあね」
はい、パクリパクリっと。これがいいたいためにかかれたおはなしですが、まだぜんはんなのでつづかせます。
「それでつるやさんがそのキャラでいくなら、わななんかべつにいみないんじゃないですか?」
「まあそうなんだけど、いちおうおはなしにはなんないかんね」
ということでツルはあっさりとみぎあしをはさんでいたわなをくちばしでつついてこわすと、
「あー、このていどでこわれちゃわなとしてはまだまだだねえ」
などとわなにたいしてダメだしをしていました。まったくもってこのおかたにはいみのないこういだったようです。
「はあ、それでおれはなにをすればいいんでしょうか?」
「んー? そうだね、ちょっとけがしてないかみてくんない?」
そういってツルはキョンにむけてあしをだしたのですが、
「あのー、なんできずひとつついてないんですか?」
まちがいなくわなはてつでできていたのですが。ツルはきっぱりと、
「それはつるやけじきでんこうしんじゅつ(きをこめることでからだをてつのようにかたくするこきゅうほう)のおかげさっ!!」
まあつるやさんならやりかねないよなあとキョンはおもいました。なんといってもつるやさんなのです。
「つまりはおれはなにもしてないんですが」
「まあまあ、そこんとこはおはなしのながれってやつさね」
しゃくぜんとしないキョンでしたが、ゆとりきょういくのおかげか、いともかんたんになっとくしました。だってつるやさんだもの。
「さて、そんじゃあたしはかえるね! おれいはかならずすっからねー!!」
ツルはさっそうととびさっていきました。
『おれ、なんにもしてないけどなあ…………』
とりあえずキョンもかえることにしました。こんなじょうきょうももはやなれたものだったからです。
『まあハルヒよりはマシだろうな』
きじゅんがすでにずれていることにキョンはきづいていませんでした。





そのひのよるのことです。
キョンはいつものようにどんぶりごはんにたっぷりのアンコをのせて、おしゃれにれんにゅうをとっぴんぐしたなづけて『キョンさんスペシャル』というどうかんがえてもさくひんがちがうキャラのようなゆうしょくをとっていました。
かたわらの1リッターパックのいちごぎゅうにゅうもかかせません。とうぶんがたりないとしんでしまうからです。
「さいきんはこのせっていつかってないよな、それともアレか? こういうのってくろれきしとかになるってヤツなのかね?」
それをいうならこのSSそのものがくろれきしだろうな。
「あー、ちをすってかめんライダーになりてえ」
せいいっぱいのなかのひとネタもげんかいにちかづきつつあるとき、
「おーい! キョンくーん!! きたよー!!」
ドンドンととびらをたたきながらげんきなこえがひびきました。
ちょうどオカッパないいんちょうだいりネタはうちゅうくうかんだからつかえねえなあとおもっていたキョンは、これさいわいとばかりにとびらをあけました。
するとそこには、ながいかみのうつくしいじょせいがまんめんのえがおでたっていたのでした。
「やあやあ、おまたせっ!! やくそくどおりきたよん」
もはやはなしをいっきにすっとばしていますが、つるやさんなので。
「はあ、ほんとうにいいんですか? なにもしてませんよ、おれ」
キョンもいきなりたずねてきたおんなのひとにスムーズにたいおうしてますが、これもつるやさんだからです。
「いいってことだよ! そですりあうもたしょうのえんってね!!」
いいながらもおんなのひと、というかつるやさんはもうどまからあがろうとしています。
「えー、つるやさん?」
「なんだい?」
「いえ、いちおうおれもおとこだし、ひとりぐらしのだんせいのもとにそんなにきがるにあがりこもうとするのもどうかとおもいまして」
なぜここでせいろんをはくのでしょうか、キョンはおもいきりはなしのこしをへしおろうとしました。
しかし、さすがはつるやさんです。にやにやしながら、
「おや〜? そんなにきんちょうしちゃうなんて、あたしもてれちゃうよ? それともあたしがきたいしちゃってもいいのかな?」
などというものですから。キョンはあわてて、
「い、いえ! そんなつるやさんになにかしようなんてぜんぜんおもってませんから! というかつるやさんほどのびじんならおれなんかじゃなくてもよりどりみどりってヤツでしょうし、ハハハ、なにいってんだ、おれ」
そのようすをみてばくしょうしながら、
「しんようしてるよ、キョンくん! でもちょこっとならおいたもゆるしちゃうにょろよ?」
といってますますキョンをあわてさせるのでした。なんだ、このバカップルかいわは。
とにかくはなしはトントンびょうしにすすみ、つるやさんはキョンのいえにいそうろうすることになったのです。まあつるやさんだし。
そこでつるやさんは、
「そんじゃまあ、おれいをするからおくのへやをかりちゃっていいかなっ?」
「まああまりつかってないからいいですけど、なにをするんですか?」
「それはないしょっさ! んじゃへやかりるね!」
キョンにははんたいするりゆうもないし、なによりおなじへやにいたらさすがのどんかんおとこもどうにかなりそうだったのでありがたいくらいのもうしでだったのです。ヘタレというならいうがいい。
つるやさんはおくのへやにひきこもるまえに、
「ぜーったいのぞいちゃダメにょろよ?」
とくぎをさしました。キョンとしてもこういうパターンでへやをのぞけばどうなるかはどこぞのメイドさんネタでこりているのですなおにうなずきました。
そしておくのへやからは、カタン、コトンとはたのおるおとがきこえてきたのです。
キョンは、
『おれんちにはたおりきなんかあったか?』
というツッコミをいれざるをえませんでした。
あ、ほんらいははたおりきをよういしてくれとツルがいうはずだったのですがそこはもうながれというものです。だってつるやさんだったから。
とにもかくにもようやくはたをおってくれました、あとははなしはどうでもいいんですけど。
「まあおれはすることないからなあ」
まったくです、なにかめんどくさいのでよくじつにしましょうか?
「そうだな、ではばめんてんかんどうぞ」





よくじつのあさです。
「おっまたせー!! いやー、はたらいたはたらいた!!」
「おつかれさまです。あさごはんできてますよ」
「お? きがきくねえ、そんじゃごちそうになろうかなっ?」
すいません、はなしをすすめてください。あんたらのストロベリってるかいわじゃないだろ、ここは。
「あー、そうだね。んじゃキョンくん、これ!」
えらくきがるにつるやさんはうつくしいたんものをキョンにわたしました。
「これをおれに? いいんですか?」
いままでみたこともないようなたんもののうつくしさに、さしものキョンもきがひけます。
「いいんだよ、これがおれいさ!! こいつをもってまちでうれば、ごっさもうかることまちがいなしっ!!」
あくまであかるくつるやさんはいいましたが、ごっさって。
「はい、ではありがたくもらっておきます。それじゃさっそくまちまで………」
「そのまえにキョンくん!」
いえをでようとしたキョンをしんけんなかおのつるやさんがひきとめました。
「なんでしょうか?」
きんちょうかんをもってキョンもこたえます。
「あさごはんにしないかい?」
「そうですね」
そんなくうきはながくつづかなかったのです。ふたりはなかよくあさごはんをたべました。
「いってらっさーい!!」
あかるくげんきにおおきくてをふるつるやさんにみおくられ、キョンはまちへとでかけていきました。なにこのしんこんせいかつ。
このへんつまんないのではやおくり。
まちからかえったキョンは、
「いやー、あんなにたかいとおもいませんでしたよ。なんですかね、おれがきてるきものなんかなんびゃくまいかえるんですかね?」
つくづくかんしんしながらも、
「あれだ、ああいうのをきたりするくらいならもうちょっとゆうこうなかねのつかいかたってもんもあるとおもいますがねえ」
などとあまりにもしょうしみんなことをいってのけるのでした。つるやさんはわらって、
「ひとそれぞれしゅみなものはちがうさね、あたしもおんなのこだからすこしはきをつかうけどね」
そういいました。スケールがちがいます。
「まあおれなんかからすればじゅうにぶんなしゅうにゅうでした、ありがとうございます」
キョンはふかぶかとあたまをさげました。
「なーに、かるいかるい! そんなにえんりょしなくってだいじょうぶだよ!」
つるやさんほどのだいじんぶつになるとなんともないようです、キョンもつられてえがおになりました。
さて、ほんらいならここでツルはすこしやつれてくるはずなのですが、
「そういうことでえらくもうかったのでふんぱつしてうまいもんをかってきましたよ。つるやさんもどうぞ」
ここでことわるはずですよね、ほんらいなら。ですがここにいるのはつるやさんなのです。
「そうかい? なんかぎゃくにおせわになっちゃってるみたいでわるいねえ」
「いえいえ、つるやさんのおかげですから」
「そんじゃおよばれしちゃおうか!」
ということで、おいしいものをたくさんたべているのでまったくやつれたりすることはありません。
つまりはなにふじゆうなくたんものはつくられたりするわけで。





「いやー、たのしいねキョンくん!!」
「そうですね。ありがとうございます、つるやさん」
「うんうん! みんなしあわせっていいことだね!!」
とまあ、こういうふうにしあわせにくらしましたとさ。
いや、ほんとにめでたしめでたし。
オチ? ないない、そんなもん。ハッピーがなによりなのですよ。










「ねえ、あたしたちのでばんはないままってどういうことなのよ?!」
「まあタイトルのじてんでよそうはしていましたが、とうじょうじんぶつがすくなすぎましたね」
「ふぇ〜、いいなあつるやさん……………」
「ぜんかいがしゅやくだったからがまんするが、わたしのあつかいはもっとかんがえるべき」