『SS』Dialogue :ストレート・アプローチ

「ねえキョン? あんた今日誕生日よね?」
ああそうだが、よく覚えてたな。
「ふっふーん、あたしがあんたの事で忘れてる事なんかないわよ!」
そいつは嬉しいもんだね、俺だってハルヒの誕生日くらいは覚えてるさ。
「うん、だって…………あたし達が付き合いだした日だもんね」
ああ、大事な記念日さ、俺にとってもな。
「う…………あ、ありがと。でね? ほら、あんた18歳になったじゃない?」
そりゃ17の次は18だろ。まあいきなり二十歳になっても困るんだが。
「もう! そうじゃなくって!! 18歳になったら出来る事ってあるでしょ?」
おう、車の免許なら取るつもりだぞ。ちゃんと一発で取るから助手席に座ってくれよな。
「え? あ、うん! もちろんよ! って違ーうっ!! いや、それも大事だけど!」
なんだよ、それ以外になにかあるか? あ、あれか、お前まさか見たいのか?
「は?」
いや、確かに18歳にはなったが別にお前がいるんだ、わざわざAVなんて、
「なっ?! こ、このエロキョンがーっ!!!」
………………じゃあ他に何があるんだよ?
「……………ほんとに分かんないの?」
だから何が?
「あ、あたし……………あんたがこの年になるのをずっと待ってたのに…………」
お、おいハルヒ、そんな涙目にならないでくれよ………言いたい事は分かってるつもりだったんだ。
「そ、それじゃあ…………あたしと結婚してくれるの?」
うわまたストレートだな、おい。結婚? それはどうだろうな。
「えっ? あ、あたしなんかと結婚できないって言う事なんだ…………」
いや、そうじゃなくてだな。なあハルヒ、お前が思う結婚ってなんだ?
「え、それは…………」
例えばウェディングドレスとかだろ?
「そ、そりゃまあ……」
そういうことをするには色々と金がかかるんだよ、いきなり18になったからって金持ちにはなれんからな。
「う……………」
それに生活していくのだって大変さ、一応大学にも行かなきゃならないし。お前だってそうだろう?
「まあ、そうなんだろうけど…………」
そういう事まで考えると、お前の言うような結婚は今のとこ出来そうにはないぞ。
「うー、キョンの意地悪ぅ…………」
あー、だから泣くなよハルヒ。それに俺だって結婚が嫌なんじゃないんだ、ほれ。
「何、この紙…………って! こ、こ、婚姻届?! あんたいつの間にこんなもんを!!」
何だ、最近はこういうのは24時間取りに行けたりするんだぞ? まあ学生服なら問題だろうが、私服で18なら文句は言われんということだ。
それよりも問題なのは俺は自分の名前を書いたんだが隣が空欄でな?
「待って! 書くから! 今すぐに書くから待って!!」
いやそんなに急がなくてもいいぞ。おいおい、紙が破けるって。
「ヒック………だって………グス………キョンが……」
泣きながら書いたら字が歪むぞ、それに用紙に落ちて滲んだらまた取りに行かなきゃならなくなっちまうだろ?
「ふぇ、だって、う、うれしいんだもん! あたし………」
感動してくれるのはありがたいが、一つ俺からお願いがあるんだが。
「ヒック………あによぅ、今なら何だって聞いちゃうわよ」
いや、今週の日曜にお前ん家行っていいか?
「ふぇ? なんで?」
いや、冷静に考えたら俺、お前の両親に挨拶一つしてないなって。
「あー! そういえばあたしも!!」
だろ? 
「なんかお互いに浮かれてたのねえ………」
まあそれも俺ららしいだろ。で、いいか?
「もちろん! でも初めて家に来ていきなり結婚します! ってのも」
ま、殴られる覚悟はしとくさ。
「大丈夫よ! ウチの親だってちゃんと話は聞いてくれるから! それじゃよろしくね、あ・な・た!」
うお! いきなり言うな!! すっごい照れるぞ、それ!!
「ふっふっふ、言ったもん勝ちなのよ、こういうのは!」
はあ、さっきまで涙流してたやつなのにな。まあよろしく頼むぜ、ハルヒ
「あたしにまっかせなさーい!!」













「なあ国木田?」
「なんだい?」
「あいつらここが学校だって分かってんのかよう…………」
「まあいいじゃない、あの二人はあれでさ」
「チクショー! 一体いつになったら俺に春は来るんだよ?!」
「まあ大学生活に期待するしかないんじゃない? ところでその大学には行けそうかな?」
「お、お前まで……………ウワーン!!!!」

あとがきじゃないけど

オチが谷口と国木田ってのも秋人さんっぽいっしょ?(笑
こういうのも練習なんだ、でも秋人さんすみませんでした。遊びすぎですか、そうですか。
少しでも元気出してもらいたかったんですが、どうなのよこれ?