『SS』ちいさながと 23

さて一応その後の話でもしておこう。
まずダミーだった長門長門(大)として学校に通うらしい。
「あなたのそばにいたい。」
あの告白の後に部屋に戻ってきたこいつにそう言われた時に、
「ああ、もちろんだ。」
と答えたら小さな長門に耳を抓まれた。同じ長門なのに何でだ?
「…………浮気者。」
いやだから長門だろ?
それから長門同士の話し合い(俺は部屋を追い出された)があり、週末に俺達がマンションに行って長門同士で情報の統一とやらを行う事で落ち着いたらしい。
という事は分かるだろ?そう、小さな長門はこれからも我が家の見えない居候になる事になった訳だ。
俺としても長門とは離れがたいから言うことはないしな。
それから、小さな長門は『有希』、大きな長門は『長門』と呼ぶようになった。
周りには俺達の付き合いは内緒にしよう、という事になったからだ。
長門は多少不満そうだったが、有希が説得したらしい。
俺としては、言い間違えないように細心の注意を払わねばならんな。
しかし交際を内緒にしないといかんのは仕方ないとは言え寂しくないか?
涼宮ハルヒや周囲の人物への影響を考えればやむを得ない処置。」
だがなあ、
「それに私はあなたと交際している。それが真実であり、それだけでも幸福。」
ああもう。かわいいなあ、こいつ。
俺は肩の上の有希の髪を撫でる。
右の耳が温かい、長門が肩を寄せてるからだ。
マンションからの帰り道を、見えないだろうが俺と有希はまさにピッタリと寄り添って歩く。
「なあ、いつお前は元に戻れるんだ?」
そういや今まで色々ありすぎて聞けなかった質問だったな。まずこれを聞くべきだったのに。
「わからない。」
なんだって?
有機生命体としてのメンテナンスと、私の固有情報の解析にかかる時間は不明。情報統合思念体からも具体的な時間の説明はなかった。」
ってことは無期限みたいなもんじゃねえか?!
やれやれ、どうやら小さな有希とはしばらくの付き合いとなりそうだ。
「私は…………………」
どうした有希?
「24時間あなたと居れて嬉しい。」
ああ、俺もだよ。
「……………………そう。」
首筋が熱くなったのは俺のせいか有希のせいなのか。
ただなぁ…………………
若い男子としてはなぁ………………
そんな俺の葛藤が顔に出てたのか、
「大丈夫。」
な、何がだよ?!
「週末まで待って。」
へ?そ、それって………………
「内緒。」
そう言った有希の顔は……………………今まで見たことのない笑顔に見えて、俺の動悸が急上昇したことを明記しておく。


そんな訳で、小さな恋人長門有希と俺はこの後も何故か色々な目に、そうだな主にハルヒ長門や古泉や朝比奈さんや…………まあ色々とあったんだが、それはまた別の機会で話そうと思う。
とにかく今は有希と暮らすことにおける我が家のエンゲル係数の心配だけさせておいてくれ。
まったく、やれやれなんだぜ?恋人としては、な。





「ちいさながと」あとがき。

さて、あとがき好きとしてどうしてもやりたかったんです(笑)
えーと、これを書くきっかけはもちろん魔界都市日記さんなんですが(迷惑な)、ネタ元があります。
ネタ元は夢想キャンパスさんのまめ長門です(えー)
まったく原型がないでしょ?(笑)でもあれ読んで『ああ、小さい長門って可愛いよな』と思ったのが初めですから。
この場を借りて両サークルさんにはお礼とお詫びを。
すんません、俺もやってみたかったんです。

で、今回の反省。
長門しゃべりすぎ?三点リーダをなるべく使わないようにしようと考えてたので。
展開としてはダミー長門は早くから考えてたんだけど、消える予定だったんです。学校内限定とかにして。
何故か助けてしまった(苦笑)そのへんで展開を強引に持って行っちゃいましたね。
あとキョンが熱いよ(笑)最初あれだけ気をつけたのに、文体があっという間に崩れたね。
例えとかがあまり出せず、語彙の少なさに自分でがっかり。
SOS団や谷口、国木田はどうしても出したかった。
初のハルヒSSなんで自分なりにキャラを掴むための練習も兼ねて。話が長く、弛みがでるのは覚悟の上よ。
出来る限りそうならないようにはしたはず。だよね?(不安)

よかったとこ。
俺の考える長門は出せたと思います。意外に喜怒哀楽の激しい子です、表に出ないだけで。
とにかく完成と言えるのが一番いいことだな。

では蔵人初の長門SS「ちいさながと」にここまでお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
ほんとあとがきまで読んでくれてたら嬉しいなあ。
ご意見・ご感想お待ちしています。
ではまた。