『SS』ちいさながと 13


と、ふと俺は目を覚ましてしまった。いったい何時なんだ?とにかく起きるにはまだ早いだろう……………
「……………なっ?!」
目を開けた俺に一瞬で覚醒してしまうような光景が飛び込んできたんだ!
それは長門の寝顔だった。しかも普通のサイズのだぞ。
柔らかなアッシュの髪、長い睫毛。
整った鼻筋にこれも柔らかそうな唇が少し開いて定期的に寝息を立てている。
その姿は俺なんかじゃ例えようがないくらい綺麗なもので。
かすかな寝息が妙にいい香りだったりして。
と、とにかくこれはヤバイ!これだけ間近で長門の顔をまともに見たのは初めてだが、衝撃的なんてもんじゃない破壊力だったんだな!
とにかく見とれてしまう、いや、あの唇に…………………
「駄目だろ、それ!!!」
つい叫んでしまった。と、目の前の長門がパッと消えてしまった。
長門?!」
なんなんだよ、一体?俺がどうにかなったのか?!
周囲を見回し長門を探すと、あいつはいつの間にか制服姿で机の上に正座してたんだ。もちろん小さくなったままでな。
「な、長門……………か?」
我ながら間抜けな問いかけだが、
「そう。」
あいつの答えを聞いて安心しちまったのもどうなのか。
「あー、お前はそのままだったよな?」
「……………………どうかした?」
いや、なんでもない。どうやらたちの悪い夢でも見たようだ。
「……………そう。」
そうさ、女の子と寝てたっていうことに必要以上に反応しただけだろう。俺も正常な男子だからな。
「そう。あなたはいたって正常。」
と言って長門の視線は下を向いた。ん?なにかあるのか………………………って!!
俺は両手でそこを隠す。今はなんともなってないが、もう反射的に。
「お、お前………………見たのか?」
「見た。」
「あ、あれは男性の生理的現象というやつでだな?」
「知っている。」
「いや、俺の意思じゃないんだ!信じてくれ!!」
「承知している。むしろあなたが健康でうれしい。」
そんな風に言われても俺は嬉しくない!!
「あなたは本当に自信を持っていい。確信した。」
しないでくれ!なにより忘れてください、お願いします!!
「それは、無理。」
あ、わき腹が……………………
トラウマに重ね撮りされた気分で俺は結局目覚めてしまったのである。本当に勘弁してくれ………………