『SS』しらゆきひめ

むかしむかし。
「せいかくなじだいはふめい。すいそくできるじだいとしては16〜18せいきとにんしきできる」
くらいむかし。
とあるおしろにしらゆきひめとよばれるそれはそれはうつくしいおひめさまがすんでおりました。
「わたしのこたいめいはながとゆき。だがべんぎじょうしらゆきひめとよばれるこしょうをしようする」
だ、そうです。そんなどこかむひょうじょうながらむくちなおひめさまがすんでいたんです。
そのしらゆきひめはふだんはどくしょがすきでいつもぶあついほんをよんでおりました。
そしてしらゆきひめにはははおやがなく、かわりにイジワルなままははのおきさきさまがおりました。
「ふ、ふえぇ〜………、あ、あたしがままははなんですかぁ〜」
あー、とてもじゃないけどイジワルなんかできそうもないほどのあたたかなふんいきをもったてんしのようなおかたなのですが、しんこうじょうこれではなしはすすむのでした。
あるひ、おきさきさまはまほうのかがみにむかってといかけました。
「えーと、かがみよかがみ、このくにでいちばんうつくしいのはだれですかぁ?」
おもいきりぼうよみなのはしようです。かがみはこたえました。
「やれやれ、ぼくはかおもだせないやくわりですか。いささかせつないものがありますが、ではおこたえしましょう。それはしらゆきひめです」
どこかそらぞらしいほほえみをたたえたようなこえでかがみはまわりくどくさくひんにケチをつけながらこたえました。
するとおきさきさまは、
「そうですよね〜、ながとさんはあたしがみてもきれいだしなんでもできるしそんけいしちゃいますよね。あたしなんかなにもしらされてないし……………」
いや、それいったらおしまいでしょうが。
「どうしてもきんそくじこうばっかりになっちゃって……………あたしもながとさんみたいになりたいのに…………」
すかさずかがみがいいました。
「もうしわけありません、これいじょうはしんこうのさまたげになりますので」
おきさきさまはなきそうになりながら、
「そ、そうですよね! あたしもしっかりしなくちゃ! そうですか、しらゆきひめがいけないんですね!」
ようやくほんらいのながれにそっておきさきさまはおこりました。そしてしらゆきひめはおこったおきさきさまにおしろからおいだされるのですが……………
「な、ながとさん?」
「なに?」
「えーと、あのですね? くわしくはいえないんですけど、おしろをでていってもらえないかなーって。あ、いいんですよムリならあたしがでていきますから」
えらくおよびごしなおきさきさまのもうしでに、
「…………………」
なにもいわないしらゆきひめだったのですが、これもしようです。ですがヘビににらまれたカエルばりに、
「ヒッ! そ、それじゃ……………あたしがでていきますから! ごめんなさいっ!!」
なみだをうかべたおきさきさまがおしろをでていこうとして、というかあなたがでていってどうするんですか。
「まってください! ここであさひなさんがでていってしまったらはなしがかわってしまいます!」
おもわずかがみがしゃべってしまいましたが、これもストーリーからはずれすぎています。
するとしらゆきひめが、
「まって」
とおきさきさまをよびとめました。もはやなみだをかくせないおきさきさまは、
「ふぇい?」
おもいきりにもつをかばんいっぱいにつめこんで、まるでよにげのたいせいそのものでとまっていました。
「あなたがでていくひつようはない。わたしがしろをでることによってストーリーはしんこうする」
そういうとそのままなにももたずにあっさりとおしろをでていってしまいました。
「はあぁ〜、よ、よかったぁ〜……………」
あんしんしきっておもわずすわりこんでしまったおきさきさまに、
「どうするんですか? このあとまだあなたのでばんがあるというのに」
かがみがれいせいにツッコミをいれます。
「あーっ!! ど、どうしましょうこいずみくん? あたし、ながとさんにどくりんごなんてわたせませんよ〜………」
なんというかネタバレそのもののなげきに、
「まったく、ぼくなんてここででばんがおわりなんですよ? しかたないですね、ではこんごについてうちあわせいたしましょう」
などとほんぺんをまったくむししたかいわがつづいてしまったのでした。なんというかこのじてんでおはなしにはたんだらけです。





しかしストーリーはいやおうなくすすみ、しらゆきひめはふかいもりをさまよっていたのでした。
「じょうほうとうごうしねんたいにアクセス。げんざいいちほうこくご、きんぺんのけんちくぶつおよびせいめいたいはんのうのけんさく……………………………かんりょう」
まったくまよいもなくしらゆきひめはまるでじぶんのにわのようにもりをスイスイとあるいていました。
どのようなしょうがいぶつもかるがるとこえながら、しらゆきひめはいつしかもりのなかのちいさなこやのまえまでたどりついていたのでした。なんというかはんそくです。
「せじょうのかくにん。はんのうなし、しんにゅうする」
だいたんすぎるほどだいたんにこやのなかにはいったしらゆきひめは、
「このいちにてたいき。すいてい3じかんごにこのたてもののもちぬしとせっしょくよてい」
とだけいうと、どこからとりだしたのかまったくわからないぶあついほんをよみはじめたのでした。
それからせいかくに3じかんご。
「ハイホー、ハイホーっとほーがらかにー」
「このうたってちょさくけんてきにだいじょうぶなのかしら?」
「かまわないわよ! こんなとこまでみてるほどひまじゃないでしょ!」
「それよりもっとハードロックとかってないの?!」
「あ、あたしもそっちのほうがいい!!」
「でももういえについちゃったわね」
「あー、つかれた」
なにやらにぎやかにこやにはいってきたのは、そろってきいろいりぼんのついたカチューシャをしたこびとのおんなのこたちでした。
「……………ミスマッチ」
「あたしもそうおもうわ! しゅやくになりたいなんていわないけどおんなじかおが7つもあるのはキツイわ」
とにかくやかましいこびとたちにかこまれたしらゆきひめですが、そのひょうじょうはまったくかわることがありません。
なによりもまずほんからしせんをあげてください。
「だいたいストーリーとしてはゆきがねててあたしたちがビックリするんじゃなかったっけ?」
「そのシーンはたんしゅくした」
かってにするな。
「そう。まあいいわ! それじゃゆきはきょうからSOSだんのいちいんね!」
「いままですずみやハルヒしかいないSOSだんだったもんね」
「でもにんずうならいつもよりおおいわよ!」
「でもみくるちゃんもこいずみくんもいないからつまんなかったけどね」
すきかってにいうこびとハルヒたちに、
「かれは?」
としらゆきひめがひとこというと、
「な、なにいってんの?! あんなやついなくたってあたしはへいきだもん!! そりゃ、あいつがどうしてもここにいたいっていうならべつだけど……………」
といっせいにかおをあかくしておなじようにつぶやくこびとさんたちをみて、しらゆきひめはひとこと、
「ユニーク」
といったのでした。もはやなにがなにやらです。





とまあそんなわけで、しらゆきひめとこびとたちはいっしょにくらすこととなりました。
ほんらいならばいそうろうのしらゆきひめがかじいっぱんをこなすところですが、
「べつにいいわよ、じぶんのことはじぶんでやるから」
というじりつしんいっぱいのこびとさんがいるおかげで、しらゆきひめはおもうぞんぶんにどくしょにせいをだしていました。
そんなあるひ。
「それじゃあ、あたしたちはふしぎさがしにしゅっぱつするわ! ゆき、るすばんおねがいね!!」
いさましくこびとさんたちがでかけていったあと、しらゆきひめはいつものようにどくしょをはじめました。ちなみにどこからほんをだしているのかはまだふめいです。
それからしばらくじかんがたち、しらゆきひめはちゅうしょくをとるためにほんにしおりをはさむと、まどぎわのいすからたちあがりました。
するとタイミングよく、こやのドアがノックされました。
もちろんしらゆきひめはドアごしからスキャンしてあいてをかくにんできるのですが、さすがにしんこうのさまたげになるこういはひかえました。
「………………」
むごんでドアをあけます。そこにはくろいワンピースにくろいマントをはおり、くろいぼうしをかぶったさわやかなスマイルのせいねんがたっていました。
まあようするにじょそうしたおとこがたっていたということなのですが、このじょうたいでほほえみをくずさないおとこをほめるべきなのかどうかはかくじのはんだんにおまかせします。
「……………なぜあなたが?」
じょそうそのものにはまったくふれることもなく、しらゆきひめがたずねました。
よくみればほほえみというよりも、くしょうといったほうがよかったおとこは、
「しかたありません、あさひなさんがどうしてもというので。ぼくとしてもでばんがあるだけマシだとわりきることにしましたよ」
というと、ちいさくためいきをつきました。どこかなっとくしきれないのわかるきがします。
しかししらゆきひめにはそんなことはどうでもいいことなので、
「こいずみかずき、ようけんを」
すいません、いちおうろうばというせっていなのですが。
「ていせいする。おばあさん、どうしたの?」
いまさらながらいわれても。なによりむひょうじょうでたんたんといわれてしまったので、ろうばやくのせいねんもさすがにこまりぎみに、
「ええ、じつはあなたにおわたしするものがあるのです。ほんらいならばもうすこしもったいつけたかったのですが、ながとさんあいてにそれもムダでしょうしね」
といいながらあっさりとかごからリンゴをとりだしました。しらゆきひめはジッとリンゴをみつめていましたが、
「リンゴをこうせいするせいぶんのなかに、」
「ああ、もちろんおわかりだとおもいますが。はい、どくはいちおうきちんといれています」
なんだかみもふたもないおはなしなのですが、まあながとだからこのてんかいはしかたないのです。それでもおはなしはすすまざるをえないわけなので、
「ありがとう、おばあさん」
「いえいえ、どういたしまして」
といううわっつらなかいわでぶじリンゴはしらゆきひめのてにわたったのでした。
「やれやれ、とはかれのくちぐせですが、こんかいはぼくもつかいたいですね。ところでぼくのなまえなのですが、」
「せっかくかんじのなまえなのでワザとまちがえた。ジョーク」
「………………はあ〜」
かたをおとし、ためいきをつきながらおばあさんのかっこうをしたハンサムはそのままかえっていきました。
「すいませ〜ん…………」
あ、いたんですね、おきさきさま。というかそんなとこいるくらいならでてきてください。
とにもかくにも、リンゴをもったしらゆきひめはそのリンゴをただみつめていました。
「たいないにおけるこうたいのかっせいか。どくそをけんしゅつしだいちゅうわさぎょうをじっこうすることによりむがいかする」
それやったらはなしがおわるとおもうのですが。
「しんぱいない。そのご、スリープモードにいこうする。わたしはゆうきせいめいたいのせいめいいじかつどうをさいしょうげんにとどめ、せいたいほごのみになる」
もうすこしわかりやすくおねがいします。
「どくはきかないけど、ねることにする」
そうですか。
といったわけで、しらゆきひめはもくもくとリンゴをたべおわるとそのまましずかによこになってめをとじました。
「ゆき? ゆき?! どうしたの!!」
かえってきたこびとたちはおおさわぎしましたが、
「だいじょうぶよ、ゆきはSOSだんのばんのうせんしゅなんだから!」
「でもいつもひとりでかかえこんでないかしんぱいじゃない!」
「とりあえずここでねかせておくわけにはいかないわ!」
「ベッド! ベッドにいどうさせるわよ!!」
「あ、でもこやのなかにいれたらはなしはどうするのよ?」
「そうね、それならベッドをこっちにもってくるわよ!!」
「もう、だんちょうみずからこれだけはたらくなんておかしいわよね」
なんだかんだでベッドにしらゆきひめをねかせると、まわりをはなでかこみました。
「ふう、これでいいのかしら?」
「いいんじゃない? いちおうじゅんびオッケーってやつよね」
「それであたしたちはどうすりゃいいの?」
「えーと、なきのえんぎなんだけど」
「ふーん、きにいらないわね」
「そうよ、ないてるひまがあるならゆきをたすけるほうほうをさがしたほうがいいにきまってるわ!!」
「そうときまったらいくわよ!!」
けっきょくこびとたちはいっせいにそのばからとびだしていったのでした。せっきょくてきなこびとたちはこのあとどうするきでしょうか?
まんがいちでもこびとがのぞんでしまえば、へんにしらゆきひめをおこすほうほうをみつけだしそうなのでストーリーをすすめなくてはいけません。





ではおねがいします。
「っておい! おれのでばんはもっとあとじゃなかったのか?」
まあいつでてこようがあなたがでてくればもうラスまえですから。
「まったく、やれやれだ。んで? えーと、しらゆきひめがいて……………と、よくねてるな、ながとのやつも」
いきなりでばんがはやまってしまったおうじさまはブツブツいいながらもしらゆきひめにちかづきました。
「おお、なんとうつくしいひとだ、どうしてこのようなところにいるのかさっぱりわからんし、なんでねてるのか、ちかくにこやがあるんだからそっちにいたほうがいいんじゃねえか、あめふったらどうすんだとかおもったらいかんのだろうな、とにかくめのつきやすいとこにいたからありがとう」
………………このやろう。いいたいほうだいのキャラはべつのアニメじゃねえかといいたいのをグッとこらえるようにはなしはすすみます。
「しかしなんにしろおこさなけりゃしょうがないよな。おーい、ながとー。もういいぞ、おきても」
なんというてきとうさ。おまえ、このはなしわかってんのか?
「とにかくおきりゃおわりだからな。さっさとおわるぞ、ながと」
そういっておうじさまがかたをかるくゆするのですが、ひめはそのくらいではおきません。
「ん? どうしたながと?」
いやきづけよ。おうじさまはそれでもかたをゆするくらいしかしません。こっちがイライラしてきます、ここがやまばなのになにやってんだこのどんかんおとこは。
それはしらゆきひめもどうようだったとみえ、おうじさまにだけきこえるこえで、
「sleepingbeauty」
とつぶやいてしまいました。それをきいたおうじさまはあわてふためき、
「な、なにいってんだ?! それにおまえ、おきてるんじゃねえか?」
などとこのごにおよんでいっていますが、しらゆきひめはなにくわぬというかいつものむひょうじょうにめをとじたまま、
「……………はやく」
とかいっちゃってます。しかもめをとじたそのかおはだれがみてもうつくしく、こころなしかくちびるもさそうようにすこしひらいたりして、おもわずおうじさまはなまつばをのみこんでしまいました。
「あー、ながと? いちおうこんなじょうきょうできくのはなんだが、これはいいのか?」
「いい」
そくとうです。むしろねてるがわのほうがせっきょくてきです。
「……………すまん、しょうじきおれもりせいにげんかいがある」
これだけのびじんにここまでいわせていいものだろうか? いや、よくはないだろう。おれはしずかにながとのくちびるにじぶんのそれをかさねあわせようと…………………
などとあえてキョンしてんふうのモノローグなんかいれたところで、
「コラーッ!! このエロキョン!! あんたゆきになんてことしようとしてんのよ?!」
みごとなドロップキック×7がおうじさまのぜんしんにヒットしました。
「どわぁっ!! は、ハルヒ?! なんで7にんもってちっちゃいなー、おまえ」
「ちっちゃいゆうな!! そんなことよりあんたがゆきにしようとしてたことのほうがだいもんだいよ!!」
「そうよ、ゆきがおとなしくねてるからって!!」
「あ、あのー、キス………………しようなんて!」
「そりゃゆきはあたしからみてもかわいいけど!」
「それならあたしだって……………………」
「ってなにいってんのよ、あたし?!」
すいません、ツンデレはそのへんで。しかし7にんいるとみごとにおもったことがつたわるなあ。
「しかしだな、ハルヒ。ものがたりのしんこうじょうはずせないことはおまえもわかるだろ? それともこのままながとがねたままでいいのか?」
さすがにいちどかくごをきめるとつよきにでれるのか、おうじさまがせいろんをはきます。
「うー…………」
「わかってるわよ…………」
「でも…………」
「なんかやなんだもん…………」
「ゆきはしんぱいだけど…………」
「どうしてもなっとくできないし………」
「なんであたしがこんなことでなやまなきゃなんないのよ…………」
7にんのちいさなおんなのこがいっせいにまっかなかおでモジモジしています。それはそれですごくかわいいのですが。
おうじさまもそんなこびとさんをみるとどうしようもなくなってきます。
「あー、そうだな……………ふりってわけには…………」
チラッとしらゆきひめをみても、
「………………」
「いかないかなあ……………」
ガックリとかたをおとすしかないわけで。とほうにくれかけたおうじさまなのですが、こびとさんはあいかわらずモジモジしてますし。
どうにもびみょうなくうきがばをしはいしかけたそのとき、うごいたのはほんらいありえないじんぶつでした。
「ストーリーをしんこうさせる」
そういったしらゆきひめはおもむろにたちあがるとツカツカとおうじさまにちかづき、
「な、ながと?!」
おうじさまがとまどうまもないままに、
「いただきます」
とのこえとどうじにおうじさまのくちびるをうばってしまいました。
「ん、んー?!」
おうじさまにていこうするすべはありませんでした。
「あーっ!!」
「ゆき?!」
「なにしてんの、あんた!!」
こびとたちはかおをまっかにしてさけんでいますが、あまりのしょうげきにうごくものはいませんでした。しらゆきひめはかんけいなくおうじさまとキスをしています。
どのくらいじかんがたったのかわかりませんが、チュポンッというおとがきこえそうなほどのうこうなキスをしたくちびるがようやくはなれました。
ふたりをつなげるだえきのせんがみょうにエロティックです。というかおうじさまがヘロヘロです。
「な、ながと……………おまえ、なんちゅうしたづかいだよ……………」
しせんがおよぎながらも、おうじさまはようやくそれだけいいました。どうやらかなりのテクニシャンだったようです。
とにかくおうじさまがおもわずすわりこんでしまったのですから、しらゆきひめおそるべし。
しかししらゆきひめはへいぜんと、
「ごちそうさま」
とだけいって、こびとさんたちにかおをむけました。
そのこびとさんたちはめのまえでおこなわれたのうこうなベーゼにかおをあかくしたままぼうぜんとしています。
「あなたは?」
「へ?」
それがじぶんたちにむけられたこえだとこびとさんたちはさいしょきづきませんでした。それでもしらゆきひめはたんたんと、
「あなたたちはどうするの?」
とこびとさんたちにいいました。そこにはむひょうじょうななかになにかしんけんなものがみえていました。
「わたしはかれにたいしこういをもっている。それをこうどうにあらわした。ストーリーしんこうだけではない、わたしじしんのいし」
「ながと…………」
「ゆき…………あんた……………」
そのことばにおうじさまもこびとたちもしんけんなかおになります。
「わたしはじぶんのきもちをつたえた。あなたはどうするの?」
「あ、あたしは…………」
こびとさんたちはうつむいてしまいました。おうじさまがしんぱいそうにこえをかけてしまいます。
「おい、ハルヒ…………」
そのこえにはんのうするように、こびとたちはいっせいにかおをあげ、
「あたしだってキョンがすきよ!」
「だってずっとあたしだってキョンをみてたもん!」
「だからきめたわ!」
「ゆき、あんたにだってまけないから!!」
「こんなおはなしでハッピーエンドなんてなっとくしないから!」
「あたしだって!!」
「キスしたいんだから!!」
というといっせいにこびとさんたちがおうじさまにとびかかり。
「ちょ、まて!! おい、ハルヒ?!」
じゅんばんにこびとさんがおうじさまにキスをしていきます。
「ま、どうなって…………んー?!」
なにもいうひまなどありません、とにかくつぎつぎとキスがほんとうにあめのようにふってくるのですから。
「な、ながと! おまえみてないでどうにかしてくれ!!」
おうじさまのこえにこたえないままに、しらゆきひめは、
「これでたいとう」
そういってこびとさんにかこまれたおうじさまをだきあげるようにたちあがらせました。じぶんよりもおおきなおうじさまをかるがると。
「ふう、いったいどうするんだよ?」
りょううでやあし、こしなどをこびとさんにしがみつかれたままおうじさまはおおきなためいきをつきました。
「ものがたりはハッピーエンド」
「そうよ! あんたはおうじさまなんだから!」
ひめとこびとさんにいわれたおうじさまは、
「やれやれ、けっきょくこうなるのか。まあいいさ、おまえらさえよければな?」
すこしだけくしょうぎみですが、それでもうれしそうにおうじさまはいいました。
「さあひめ、いきましょうか」
さしだされたてをしらゆきひめがにぎります。するとそのうえにどんどんとてがかさなります。
「ちょっと! あたしたちもいっしょだからね!!」
「ああわかってるさ、いっしょにいこうハルヒ
そういわれたこびとさんたちはみんなえがおで、
「とうぜんよ! ずっといっしょにいるんだから!!」
きれいにこえをそろえていいました。
そしてそのまましらゆきひめに、
「ゆき、まけないんだからね?」
7にんがいっせいにゆびをさしました。それにたいしてしらゆきひめは、
「わたしもまけない」
とだけいいました。
でもそのとき、しらゆきひめのひょうじょうのないかおにすこしだけ、ほんのすこしだけほほえみとよべるものをかんじたのはきっとおうじさまだけではなかったでしょう。





こうして、しらゆきひめとおうじさまとこびとさんたちはおうじさまのくにでおおさわぎしたりしながらもたのしくくらしましたとさ。
え? おうじさまがだれをえらんだか?
それはみなさまのごそうぞうでおねがいします。