『SS』ちいさながと 1

さて、いきなりで申し訳ないが俺はとある問題に直面している。
「…………で?」
「…………で?とは?」
その問題ってのは、まああれだ。少なくとも俺の命に係わるようなものではないことは保障してもらえるんだよな?
「そう。」
それならいい。いや、よくはない。よくはないんだぞ!なので、ちゃんとした、俺にも解る様な説明を求めたいと思うのは当然だろ?
「何でこんな事になっちまってんだ?」
「先程説明したとおり。」
いやだからな、さっきの説明と今の状況と俺が何故ここにいるのかの繋がりがよくわからんのだが。
しかもこんな時間にだ。
言いながら、俺は壁に掛かっていた時計を見る。針はもう深夜と言えそうな時刻を指していた。
そういや、前来た時には時計など無かった気もするが、やはり殺風景だと感じてくれたのかね?
少なくとも一般の男子高校生が女子の家にいる時間じゃないよな、何か深い関係でもなければ。
「私と貴方は……………………秘密を共有している。」
誤解を招くような言い方はよせ。
「深い関係?」
そこで首を傾げるな。しかもその角度は反則だ、違うとはとてもじゃないが言えんじゃないか。
「まあ、お前の頼みを断らなきゃならんほど人間は出来てないがな。」
「……………………そう。」
ここまできたら解るだろう、ここは長門のマンションであり、目の前には情報なんとかのインターフェイスにして、我らがSOS団の万能選手であるところの長門有希が鎮座ましてるってわけだ。
ただし、ただ単に座ってるって訳じゃない。
そう、こいつはいつものテーブルの中央に正座をしていた。
ここで俺が言いたいのは『テーブルの中央』ってことだ。わかるか?
「もう一度解るように説明してくれ、長門。一体どうしちまったんだ?お前………」
つまりだな、『テーブルの中央』に正座できちまう長門がいたってことなんだよ…………まるで人形みたいな、な。
「私は貴方に保護を要請している。」
ああ、そうだな。それで俺はここまで来たんだったな。
俺はつい先刻、長門からの連絡を受けた時の状況を思い出していた……………